黒子のバスケ*恋に落ちる夢

□D
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一度手に入れたら
もう手離すコトなんかできない。
絶対離さない。愛してる………

あたしは最高のシアワセを
手に入れた。

大輝はあれだけ遊んでたのを
ピタリとやめて真面目に
仕事をしてる。



あの日から2ヶ月がたった。



◆◇◆




「青峰?青峰いないのか?」



その声にあたしの心臓は
ギクリと跳ねた。
恐れてたそれは
前ぶれもなく突然やってきた。




「あ、穂乃莉ちゃん。
こんにちは。来てたのか?」




「お、おじゃましてます…」




チッ…なんでおじゃましてますなんて
言ってんの?あたしのバカ!




「青峰はいるか?」



「はい、部屋に…」



言い終わらないうちに赤司さんは
大輝の部屋へ入って行った。




戻ってきた…。
戻ってきたんだ。






『…赤司?』



『青峰、ごめんな、オレ…
本当にごめん……』



『赤司………』



ふたりの会話が小さく聞こえる。

大輝は部屋から出てきて
あたしと視線を合わせた。
その顔はさっきまであたしに
向けてくれてた表情は
イッサイなかった。



そうなんだ。
赤司さんは一瞬で大輝を
連れて行ってしまう。
まるであたしという存在が
初めからなかったように。



「穂乃莉、悪りぃ。
今日は帰ってもらえっか?」



「平気。あたし帰るね」



よかったねと言ったが
その言葉は消え入りそうで大輝に
届いたかどうかはわからない。
ただこれ以上口を開けば
泣きくずれてしまいそうだった。



絶対ここでは泣かない…
血が冷たくなって
靴を履く足が震える。




戸を閉めて階段をかけ下りる。




大輝…大輝…っ




吐きそう。



赤司さんが戻ってきた。
大輝の心をつかんで離さない人。
あたしが何年もかかって手に入れて
大切な、何より大切なタカラモノを
赤司さんは指先ひとつで簡単に奪って
あたしをナラクの底まで
突き落とすコトができるのだ



照れくさそうにつなぐ手も
信号待ちのキスも
あたしじゃなく
赤司さんとするんだね…



……………。




いやだ……  
いやだ……

絶対いやだ!







続く→

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