黒子のバスケ*恋に落ちる夢

□大好きだから
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あたしはさつきと友達なのに
うまくおしゃべりができない。

むしろ嫌い。


可愛くてキレイで
しっかりもので無邪気で。
色んな顔を見せる可愛いさつき。



仲よくなっていい子だなって
わかる度に


どんどん嫌い。




そんでもって自分のコトも
どんどん嫌いになっていく。







「でね!テツ君に会いに行ってね
その時こっそり
撮ってきちゃった!」




一生懸命『テツ君』なる人物の
話をしてる。


さつきがストーカーのごとく
撮ったその待受は
ピントが合ってなく
水色の髪をした
おとなしそうな男の子が
ぼんやり写っていた。



この可愛いさつきが
きゃーーってなる程どうかな?
普通?


どうだろ?あたしは青峰のが
ずっとずっーーっと
カッコいいけど。





「またテツか?飽きねぇな」



「見て見て!いいでしょ」




ケータイを覗いて青峰は
よかったなと言って
さつきの頭を乱暴になでた。



「さつき、授業始まんぞ」



「いやだーっ
じゃ穂乃莉また来るね!」



「うん」



「転ぶんじゃねーぞ」



「わかってる!」




ちょ、転ぶワケないじゃんね!
バッカじゃない。
どんな心配よっ。
親か。過保護にも程がある。





『テツ君』が好きなのに
青峰に心配されてるさつき。
青峰の1番近くにいるさつき。
いつも一緒で
いつもお互いを心配して
気にかけてる。




嫌い嫌い嫌い。
本気で転べ。





飛び出して行くさつきに
そんな念を飛ばしながら
眺めてると
青峰が座ってるあたしを
無言で見下ろしてる。



「な、なに?」


「別に」


「なによ?言って!
気になるし」



「変な顔」




青峰はそう吐き捨てて
プイッと自分の席に
戻ってしまった。





え……っと。なに?
今あたし『変な顔』って
言われた?

ヒドい。

そりゃさつきに比べたら。
さつきみたくよそのクラスの
男子が見に来る程
あたしは可愛くないし。


可愛くてキレイで
スタイルもいいさつき。


それに比べてあたしは
『変な顔』


好きな人に変な顔と
言われる女なのだ。


どーせ………



なんかヒクツだなーって
自分でも思う。


結局青峰といられる
さつきがうらやましくって。
そんでうらやまくって
うらやましくって
自分と比べて落ち込んでまた
心ん中は真っ黒なのに
ウワベだけの愛想笑いを
繰り返す。




あたしにだっていい所はあるっ!
絶対あるはず!

てゆーか、そう思わなきゃ
生きていけないじゃないっっ?





でもそれってどこ……?
何もないじゃん。




涙がたまりうつむくあたしの
視界がぼやけた。
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