Drrr!! *Oпε£оνё!

□ボトムライン
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「沙樹さんがいるのは
わかってるんです。
でも…諦めるなんてできないっ。
本気なんだもんっ」



オレぐらいになると
トーゼンと言えば
トーゼンな状況?

うん、ユキ 今日も
グイグイだな。






「ユキ?
いつも言ってんだろ〜?
もーちょい大人になったらな。
5年たったらおいで。
したら相手してやるぞっ♪」



正臣はユキの頭をなでる。




ウソツキ。絶対なびかない。
5年たったって10年たったって
沙樹さんだけのクセに。




「どんなコトだってするから!
紀田さんの
望むコトなら何でも。
紀田さん以外何もいらないし、
あたしなら尽くして
一生大事にするから。だからっ」




「よーしよしよし。
そこまで言われたら
お兄ちゃんはたまらんな♪
可愛い可愛い♪
妹属性大炸裂だな。ユキは」


今度は両手で
まるで犬でもなでるように
ワシワシとユキを
なでくりまわす。



妹なんかじゃない。
可愛いなんて言われたくない。
頭なんかなでられたくない。
あたしの言葉を流さないで。
…子供扱いなんてズルい。



もっと早く生まれたかった…
後5年早く生まれて
紀田さんと同じ年だったら
もっと近くにいられて

そしたら少しは今と違ってた?



ユキは正臣の袖を
ぎゅっと握った。



「まだ一緒にいたい…の//////」



ユキの目には
涙がじんわりにじんできた。



こんなワガママ言って
いつも泣いて困らせてる
自分はなんて
面倒くさい女なんだろう。
ユキは自分でもわかってた。




見上げれば少し困った正臣が
ユキの頬にふれた。


ほんの少し正臣は距離縮めた。


いつも泣いててグチャグチャで
なのに少しもブレない真っ直ぐ
正臣を見つめる
色素の薄い茶色い瞳。
白い肌に紅色の頬。



涙をいっぱいにためて
自分を見返すユキを見ると
正臣の中で
イマスグユキを
いいようにしてみたいキモチが
わき上がる。


わかってる……
これ以上つめてはいけない
危険な距離。




「………」
(離したくない。帰したくない。
独り占めしたい。
いつも隣にいて片時も離れない
紀田さんと沙樹さん。
あたしだって負けないくらい
たくさんたくさん好きなのに。)




「………」
(チッ…
何やらかそーとしてんだよ?オレ)



沙樹と出会う前に出会ってたら…
コイツと同じくらいの年だったら
これは愛さずには
いられなかったかもしれねぇな。




正臣は軽く深呼吸して
ユキに言った。



「あんまりおませさんになって
オレを困らせるなよ?
早くうちに帰れー」



ユキのオデコを軽く
つついて
正臣はきびすを返し
足早にユキから離れる。


角を曲がると人影とぶつかった。



「っと、沙樹…」



「あんまり遅いから
迎えにきちゃった」




「聞いてたのか?」




「うん、ちょっとだけ」




「ごめんな」




「なんで正臣が謝るの?
正臣はカッコイーから
仕方ないよ」



「あはは
世の中の可愛い女の子を
オレがほっとけないように
女の子もカッコよすぎるオレを
ほっとけないっつーの?
…………って、つっこめよ。
オレは沙樹だけなの
わかってんだろ?」



「それでもグッときた?」



「……」




「正臣?」




「確かにあの目はやべぇな。
うっかり大事なモノを差し出して
しまいそうになる目だ」



「バカ正直」




「つって!
んなワケないでしょー♪沙樹!
死んでもオレから離れるなっ」



沙樹は静かに微笑んだ。

正臣は沙樹の頭にキスをして
抱きしめた。

そしてユキのあの目を
思い出す。


そして頭に浮かぶユキを
消すようにぎゅっと目を閉じて
沙樹のにおいを吸い込んだ。




END 






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