進撃の巨人*甘く溶ける夢

□何でもない日常(帰り道編)
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リヴァイ兵長とあたしは
アイスを買って公園で食べている。



あたしはフツーに座って
リヴァイ兵長はその横の
ベンチの背もたれに
猫背気味に腰かけ
ただただアイスを食べる。




何をしゃべっていいのかわかんない。



ただアイスのシャリシャリって音と
あたしの心臓の音だけが
やけに耳に大きく響いてる。





「…アタリだ」



「本当ですかっ?」



「ああ」



「わっ、スゴ!」



「…っ」




あたしに当りを見せる
リヴァイ兵長が…

当りを見ようと近づいたあたしが…

予想以上に近くて
リヴァイ兵長はあたしを見て
言葉を止めた。


リヴァイ兵長が小さくツバを
飲むのが分かった。



あたしの心臓は一瞬大きくなり
ノドモトあたりまでせりあがる。



「近い」



「あ、あはは。すいません//////」



もうわけわからんし
汗だくだくだし。




「欲しいか?」


「いいんですかっ」




手を伸ばしたらリヴァイ兵長は
アイスの棒を上にあげた。



「え、と?」



「やらない」



「なんですか、ソレ…/////」





リヴァイ兵長は真顔で
カラダに似合わない
ちょっと大きな手で
あたしの髪をグチャグチャにした。




やめて。
頭ぼっさぼさすんの、乱れる。
なにされてもイチイチ恥ずかしくて
心臓がこんなに跳ねてたら
あたしこのまますぐ死ぬ。




「ユキ…
さっきからお前にキスするトコしか
考えらんねぇんだけど
どうすりゃいい?」




ビックンとカラダが跳ねる。


どどどど、どーすればってなに。
どーすればってどゆ意味?
キスって言った?
あたしとリヴァイ兵長が?
キスって!口と口つけるヤツだよ?
あたしとリヴァイ兵長が?
リヴァイ兵長の薄くて色っぽい口が
あたしの口に?いや、ないない。
ありえない。そんなコトしたら
リヴァイ兵長の口が
汚れちゃいますから。
そんなコトはさせられませんっ。




「なぁ   どうすりゃいい……?」



ちょ、リヴァイ兵長。笑ってないし。
なに?にらんでますか?
怖いんですけど!

なのにそんな顔も
きゅんとするじゃないですかっ。
違う。ゾクゾク?

あ、待って。
ケータイ出すから
ちょい写メらしてください!


……言えないけど。



あーーーっ!もぅ!ダメ。
ダメすぎる。キスなんて。
そんなの出来るワケない。


コンチクショ、なんなんですか?
殺す気ですか。
イキナリフンイキ出すのとか。


冗談にしろ。笑え、今笑え。
すぐ笑え。笑って流せ!
笑っとけ、あたし!


「あは……は…」



「ユキ」



大きな手が伸びて
あたしのほっぺにふれた。



撤回。ダメだ。
んなの笑えるワケがない。
だってこんなに震える。
このままじゃ後10秒したら
気絶する。


あたしはみるみる真っ赤になって
ぎゅーっと目をつむってうつむいた。





だってどうしたら
いいのかわからない。




「冗談だ」そう言ってリヴァイ兵長は
あたしに軽くデコピンした。



「冗談っ!?なんのっ…「真っ赤だ」



「バババ、
バカにしてんですかっっ/////」



「ゆっくり行くしかねぇんだろ?」



「え?なんです?」



「いや。帰るぞ、ユキ」



リヴァイ兵長はあたしの手を
つかんで歩きだした。



「待って、なに?
なんて言ったんですか?
リヴァイ兵長っ」



「アタリも出たし
明日もアイス食うかって言ったんだ」



「え?あ、はいっ。食べます!
食べたいですっ」



「………早くオトナになれ…ユキ」



「?」



なんて言ったのか
聞き返したかったのに
リヴァイ兵長が口の端を少しだけ
上げてかすかに笑うから
あたしは
全部どうでもよくなっちゃって。

この笑顔を独り占めできるこんなシアワセ。

大きな手があたしの手を
強くにぎりひっぱるから
あたしはその小さい背中を見て
胸がいっぱいになって
何だか少し泣きたくなった。








END 

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