進撃の巨人*甘く溶ける夢

□たとえばこんな感情
1ページ/3ページ




「何騒いでる」




「いや、あの…ユキが
リヴァイ兵長に渡せなかったから
ここをやめるだの
もう人生終わったから巨人と共に
暮らすだの意味不明なコト言って
暴れだして…」




見るとユキは
みんなに床に押さえ込まれ
萎れた汚ねぇ花を握りしめて
鼻水までたらして泣いている。





「ユキの村では
自分の誕生日にあの花を
大切な人にあげるともらった人は
栄光をつかめるって
ジンクスがあるそうで…」




何なんだ?
このクソ汚ねぇ花を
もらえばいいのか?




「よこせ」




俺は押さえこまれてる
ユキの前にしゃがんだ。




「やですよ……
こんなシナシナになったら
意味ないんですよっ…うっ……う」




「みんな離してやれ」




ユキはイキオイよく
立ち上がりビタッとその花を
俺の顔に投げつけた。




「てめぇ……何しやがる」




「兵長が悪いんですよ!
こんな時間まで顔を見せないから!」




「ユキの都合まで
俺にわかるか。
なら、前もって言っときゃいいだろ」




「それじゃジンクスに
のっとれないじゃないですか!
ってか、もうボーッと
突っ立ってないでもっとそばに来て
謝れってんですよっ」




「何で俺がお前のそばまで行って
ゴキゲンとんなきゃなんねんだ?
そばに来たけりゃてめぇが来い」




「うるさいうるさい!
あたしからリヴァイ兵長のそばなんか
絶対何か行かないし!」





「くだらね。俺は部屋に戻るぞ。
お前らも散れ」





ぞろぞろと出口に向かうガキ共の
後ろを歩いてると
クンッと袖をひっぱられた。





「まっ…待ってくださいっ」




「お前もとっとと寝ろ。明日も早い」




「こんなキモチじゃ寝れません…」




つかんだ袖口がカタカタと
かすかに震えてる。





俺はニヤリとして



「なあ、ユキ。
お前の大切な人って俺か?」




と言ってユキの頬にふれ、
距離を縮めた。



ユキはピクンと反応し
真っ赤になって下を向いてる。





「それは…その…」



「つまり好きなんだ?この俺が」



「ち、違いますよ」



「へぇ、違うのか」




「ちっ……「好きでたまんねぇから
花も用意したんだよな?
渡せなくて大騒ぎしたんだよな?
おい」



「なにニヤケてんですか……
こ、こっち見んの
やめてくださいっ//////」



「いいのか?よそ向いてても」



「だっ、近い…からっ」




「ついて来い」






ノロノロではあるがユキは
黙って部屋までついてきた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ