進撃の巨人*甘く溶ける夢

□優しい体温
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「後で寄れ」



一ヶ月程前からあたしは
時々リヴァイ兵長にこんなふうに
呼び出されるようになった。





最初は口説く気か!?と思ったが
今ではコレはカンペキ
遊ばれてるってゆーか
からかわれていると理解した。



何故ならリヴァイ兵長は
先には進もうとは
しないから。





それでもあたしは
リヴァイ兵長が
あたしだけに見せる
きっと他の人が見たら
凍りつくような
口元を歪めて笑った顔が
見たくて



このワケのわからない
お遊びの時間の為に
リヴァイ兵長の部屋に向かう。








リヴァイ兵長は
「すまんが先に仕事をする」と
新しい作戦の会議書を
難しい顔で見ている。
あたしもそれを横から覗く。



「ふむ」とか「ほぉ」とか
言ってみるが
実はあたしは字が読めない…
でもリヴァイ兵長が
真面目に読んでるから
デキル女っぽくしてみる。





(くそ。眠ってしまいそうだ…)




そんなコトを考えてたら
トンッ……と肩に
リヴァイ兵長の頭がぶつかった。




(ハァ!!??)




ちょっと何?
兵長が寝ちゃったの!?






リヴァイ兵長の体温が伝わって
あたしの肩がジンジンして
どんどん熱くなる……


もうやだ!あたしどうすれば??
むーん……どしよ?
寝かせたままでもいいような
でも
心臓がバクバク
うるさく跳ねるから
早く離れてほしいような。




天井を見上げてみたり
ちょっと咳払いして
肩をかすかに上げてみる。




動悸が激しくなる。
もうダメだ。倒れる。気絶する。


動かせずにいる肩に
力が入って今にも
首がつりそうなんですけど!


落ち着け、落ち着け。
がんばれ!あたしっ!!





そーっとリヴァイ兵長の顔を
覗きこむ。




「 !!!!! 」






リヴァイ兵長は
猛獣が補色対象をとらえたような
全てを凍りつかせる
世にも恐ろしい上目遣いで
あたしを見てる。




「な、何してんですかっっ/////」


「ふっ……ユキ…
お前は何でも顔に出るんだな」



「からかったんですね!?
そんな真顔でおちゃめ
やめてください!」



「むくれるな」



「ちょっ…もうっ
…離れてくださいっ」




「そうだな。ユキ
キツい言葉責めか緊縛か
選んでみろ」




「何ですかっ!
そのしょーもない選択肢は/////」




あたしはからかわれてる怒りと
恥ずかしさで真っ赤になる。


リヴァイ兵長は更に
距離を縮め
目を細めて
口元を少しだけ歪ませ
イジワルな笑いを浮かべて
囁いた。




「チッ。
特別選択権くれてやってんだぞ。
ま、選べねぇなら
いっぺんにやりゃあいいだけだ」



「ちょちょ。
リリリ、リヴァイ兵長と
あたしがですか!?//////」




いつも真っ赤になって涙がにじむ
自分がムカつく。




リヴァイ兵長の骨ばった手が
あたしの頬を包み



「イイ顔だ」


と小さく言って
素早くあたしの唇ギリギリのところを
舌を出して舐めた。




「!」




「ユキ
いいワインをもらった。
今あけてやるから
楽しみにしておけ」




リヴァイ兵長は口元を
歪ませながら
ソファーから立ち上がった。



全く冗談ばっかりで
さっぱりワケがわからない。


リヴァイ兵長。二重人格者か?
いつか盗撮して
ハンジ分隊長に
検証してもらおう。
そうだ、絶対そうしよう!



あたしは恥ずかしくて
いつもふりまわされて
一人で慌てて……

なのにリヴァイ兵長は
いつも余裕で
口の端だけかすかに上げて
イジワルな顔をする。




えっらそーなリヴァイ兵長の
セクハラマガイのコレにも

リヴァイ兵長ばっかりで
最終リヴァイ兵長のするコトなら
何でも耳をピーンとさせて
ヨダレをたらして
しっぽを振りまくる自分にも
つくづくムカつく………


まぁ、耳としっぽが
あったとすればだけど。



いいワインか。よし!
みーーんなあたしが
飲んでやるっ!
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