暗殺一家長男の苦悩

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オレが提案したことに文句がある奴はいないだろう。
だって、こねこはもともと花嫁候補だったわけだし。

『けけけっ結婚…!!』
「さっきまで殺す気満々だったのに…!」

「キルには関係ないよ。これはオレ達の問題だから」

「ッ!!」

そう、キルには関係ない…こねこはただひたすらオレのことだけを見て感じていれば良い…。

『キルア君行っちゃった…』
「こねこ」
『はい?』
「オレに従う気はある?」
『え?無いですけど』
「…ふーん」

強行突破で脳を操ったほうが速いみたいだ。

『っなんですかその手は!め!』バシッ
「痛い」

スー、とこねこの頭に触ろうとした手が見事に弾かれてしまった。
そして地味に痛かった。

『ハッ!今わかりました!』
「何?」
『イルミさんは操作系ですね!』
「…念を知ってるの?」
『もちろんですよ!一応私も使えますので!』
「意外だね」

母さんが言っていた他の女と格が違うってのはこの事か。
確かに、念を使える女なんてまともな奴見たことないしなあ。

「強化系?」
『うわ!なんでわかったんですか?』
「なんとなく、馬鹿が多いって聞くからさ」
『誰が言ってたんですか!』
「聞いてどうするの」
『どうしましょう!』
「(馬鹿…)」

そうだ、母さん達にも言わなくちゃね。

『あの…』
「何?」
『結婚すると私たちどうなるんですか…?』
「特に意味は無い。夫婦になる、ただそれだけ」
『そうですか…じゃあ仲良くしましょうね!』
「…父さんと母さんのところに行くよ」
『はい!』

ホント、何を考えてるのか理解できない。




―――――――――――
―――――――




「という訳だから宜しくね」

報告をすれば母さんはいつもの奇声を上げて今日はパーティーだわッ!!なんて言ってカルトを呼んで何処かに行ってしまった。
父さんはというと、そうか、と一言で片付けた。

しかしこれだけでは終わらないのがこねこだった。

「こねこ、部屋に戻るよ」

『そのクッションもふもふですね!』
「ああ…そうだな」

「…はあ」

全く、これだからこの女は…とこねこの襟首を掴んで無理矢理部屋から連れ出した。

『あああもふもふクッションがああ』

バタン

「ああいうのやめてよ恥ずかしい」
『申し訳ないですっ沢山あったのでつい…!』
「わからなくもないけど普通はしない…あ、普通じゃないのか」
『失礼な!』

会話の中でツッコミとか滅多に無いから少し感動しているとこねこの視線が一点に止まっているのがわかった。

『あ!キルアくーん!聞いてくださーい!私たち結婚したんですよー!』

そこにはキルが立っていた。

本当に馬鹿だねこねこは。
少なからずキルはお前に好意を寄せていたのにオレに横取りされたから、今は苛立ってると思うよ?

「…さっき聞いたよ」
『そうですか!あ、夕食まで遊びますか?』
「今は遠慮しとく」
『そうですかー…残念ですー…』
「つーか、お前と遊んでも全然楽しくねーし」
『!』
「…なんだよ」
『…私は、初めてのお友達だったのですっごく楽しかったのですが…』
「!…嘘だ、俺が初めてだった…?」
『はい、キルア君が一番のお友達です…(しょぼーん)』
「!!…あの、さっきの取り消しな!」
『…?』
「次は何して遊ぼうか?」
『(ぱああっ)おお!缶けりなんか良いですよ!』

「……」

仲直りしちゃったか。
残念だけど、ここは男として見逃す訳にはいかないな。

「こねこ」
『なんですか?』

グイッ

『!』
「!?」

イルミはこねこの腕を引っ張り自分の胸に引き寄せ、抱き締めた。

「キル、見ての通りオレ達はこれから愛を確かめ合うんだ…言ってる意味、わかるな?」
「…っ…!!////」
「…まだ早かった?」

『!!?/////』ボンッ

「?」
「うわ!こねこ大丈夫か?!」
『(プシュー)』
「…」
「おい!しっかりしろよ!」
『(プシュー)』

まさかここまでとは。
こねこには女というものを徹底的に教えなければ。

「じゃ」
「じゃ、ってこねこをどうするんだよ!待てよ!!」

こねこはもうオレのだから、こねこの身体をどうするかは自分で決めるさ。

抱き上げたこねこの真っ赤に染まった頬を撫でながらイルミはその場を後にした。

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