短編

□フィーリング
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「…好きです」

私、只今の告白19回目。
いい加減自分でもしつこいって分かってる。
だけどこの人は…

「う〜ん…あ、ミカサが呼んでるからまたな!!」

19回目までも私に曖昧な返事を残していく。
はっきり言ってくれれば踏ん切りがつくのに。
だから19回も告白するんじゃん。

「お前また振られたのか?」
「…うっさい」
「18回は流石にキツいぜ?」
「……19回」

こいつはジャンとかいう人。
ミカサが好きらしいけどミカサの行動からして既に嫌われているっぽい。
今もまだ好きかどうかは知らないけど。

「でもさ、お前も物好きだよな〜なんであんな死に急ぎ野郎なんかが好きなんだ?」
「いいジャン、私の勝手ジャン」
「人の名前で遊ぶのはやめろ」
「あんただってミカサのこと好きなんでしょ?」
「…俺はもう振られてんだよ、だから踏ん切りはついた!今俺は新しい恋に目覚めてんだ!」
「はぁ?」

よくわからないけど…私ももう諦めた方が良いみたいだね…。

「(悲しい…)」
「…まあ、あれだ、ほら…意外とお前のこと好きなやつがいるかもしれないぜ?」
「…そうかな」
「お、おう…意外と身近にいたりしてな!」
「うん…ありがと、ジャン」
「!!」
「頑張ってみようかな」
「…え?」
「あと一回だけ、エレンに告白してみる」

19回なんて区切りが悪いし。
ジャンにちょっとだけ勇気もらったし。


「エレン!」
「あ…なんか用か?」
「はぁっ…あの、好きじゃないなら振って!」
「は?何言ってんだよ…」
「振って下さい!!」
「………悪ぃ」
「…っ…ありがとう」


一瞬だった。
私の告白、あっという間だった。
ジャンに会う気がしないわこれ。
あーー涙止まんねーー。

「ぬこっおい!大丈夫か!?」

近くに居たのかテメー。
ムカつくから八つ当たりしてやる。

「……これで、気が済んだか?」
「タックルしたんだけど…」
「弱いタックルだな」
「うるさい、放せ」
「ぬこ、泣いてんだろ?」
「はっ誰が」
「顔上げろよ」
「…いや」

ぎゅうう

「お前、可愛い顔してんだからもう少し女らしくしろって」
「…モテちゃう」
「…そうだな、それはイヤだ」
「…もしかして、私のこと好きなの?」
「……さぁな」
「…だって、振られる度にいっつも隣にいるし、こーゆう時は優しいし…」
「…お前のこと好きなんじゃねーの?」
「何、それ」



20回目にしてやっと想いは砕け散ったけど、今新しい恋の予感がしてます。


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