短編

□僕と姉さんと恋心
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僕は、ぬこが好きだ。
それはもう小さい頃から。

僕と同じ色の黒髪が好き、あのぷっくりとした唇を奪いたい、僕の頭を撫でてくれる小さな手が好きだ、にっこりと微笑む優しい笑顔が好き。

もう伝えられないほど大好き。

この想いを親友のライナーに伝えたら、
「シスコンにも程がある」って言われた。
確かに、普通ではないことは分かってるよ。
自分の姉に抱きたいなんて感情湧かないもんね。だけど、僕はそれくらいぬこを愛しているんだよ。


「ねえ、ぬこ…寝てるの?」
「ん…zzz」


かわいい、このままキスしたい…。触れるだけ、触れるだけだから…っ…。

……柔ら、かい……。


「…起きてくれないと、少しエッチなことするよ?」
「スー…zzz」
「ぬこ、ねぇ」


ぬこの首筋に顔を埋めて匂いを嗅ぐ。
いい匂い…あ、耳おいしそう…。

ペロ

「っん、や…」
「感じるの?…もっとしてあげる」

ペロ…ペロッ…チュ

「んあ、あ…!ッ…ベルトルト…?」
「おはよう、寝坊だね」
「え…やだ、もうこんな時間っ」
「ほら、なにか忘れてない?」

起きようとするぬこのおでこにコツンとおでこをくっつけて、視線を外さずにじっと見つめた。

「!…忘れてた、おはようベルトルト」
「クスッ今日は休みだから急がなくていいんだよ」
「あ!…なんだ〜そうじゃん!…あれ…ベルトルト、なんか近くない?」
「え?そうかな」
「近いよ」
「…ぬこ、キスしてもいい?」
「なに言ってるの?それ前も言ってたよ」
「ちょっとだけ、ほんの少しだけだから」
「だ、めだって!」

ドサッ

「全部、僕に任せて…」
「っあ!駄目だってば…んん…っ」
「ん、ふ…ぬこ、気持ちいい?」
「っ姉弟でこんなこと、んうっ」
「ちゅ…僕たち二つしか変わらないよ…?」


少し無理やりで申し訳ないんだけど、すごく興奮する…。ごめんねぬこ、可愛くてつい…。
細い腕で必死に胸板を押して拒んでいるようだけど、全く効いてないよ。
勝手だけど、手首押さえつけちゃうね。


ピンポーン


「っベルトルト、出なきゃ」
「……誰、こんな時に」


仕方なく起き上がって玄関を開けた。
目の前には僕の親友兼恋の相談役が立っていた。


「…ライナー」
「おう、上がってもいいか?」
「え、ちょっと…困るよ」
「恋のキューピッドにそんな口聞くのか?」
「…結構盛り上がってたんだけど」
「……!?マジかよッ!ぬこさんどんな感じだった…!?」
「うん、可愛いよ」
「うぁ…見てぇ」
「駄目」
「おいおい…せっかく良いもん持ってきたのによ」
「何?」
「ほら、」
「………!!」


箱から開けて出てきた物は、大人向けのエッチなDVDだった…。


「要らないよ、」
「なんだよ、お前の為を思ってわざわざ持ってきたんだぞ?」
「……僕にはその、ライナーと違って…ぬこがいるから、ね?」
「!!…ッチクショォオ!!」

パタン



「ふぅ…」
「友達?」
「いや、人違いだったよ」
「そっか」
「……ぬこ、さっきの続きしよう?」
「!いい加減にしないと、」
「怒るの?初めてのキスが僕じゃ嫌だった?」
「ベルトルト…っ」
「ねえ、大好きなんだよ…好き、好きだよぬこ…」


再びベッドに押さえつけて気持ちを伝えた。
どうやっても、いつまでたっても相手にされてなかった僕だけど…今、此処で、決着を着けるよ。


「ぬこ…僕はもう一度、君にキスをする…。もし本当に嫌だったら、拒んで……もう絶対にしないから…」

「っ…!!」


ゆっくりと顔を近づける…。
これは僕の最後の決断だった。
ああ、これでやっとぬこの僕に対する気持ちが分かるんだ……結果はどちらにせよ、もう楽になれる…。
残りわずか…目を瞑って迫る。
……あれ、ぬこ……?


ちゅっ


「!!」
「ん…」
「、っ……拒まないの……?」
「…うん。なんかね、ベルトルト以外の人にされるのもなーって思ったの…その、よろしくね?」
「っうん!!嬉しいよ…凄く!!」
「ふふっ大袈裟よ」


予想外だ、そんな…ぬこと恋人同士になれるなんて…!
うわああ…これからどうしよう…ニヤけが止まらない…。


「もう一回、キスしていい?」
「…ん」
「(キス顔…ッヤバい…!!)」




今日、僕の恋が実りました。

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