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□last message
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「君の働きには期待しているよ」
「お任せを」
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「……君はよくやってくれたよ、チェ・グソン」
君無しじゃあ、この作戦は成功しなかっただろう。
だから、君は十二分にやってくれた。
「だが、これはどうだろう……君も僕のことを言えないんじゃないか?」
ムービーを残すなんて
「……僕がもしこれを見なかった、どうするつもりだったのかな?」
「……そんなこと微塵も考えてないんだろうな」
よく分かっているね、チェ・グソン
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『旦那がこれを聞いてる頃には、俺はもうあんたの指揮から外れちまってるんでしょうね。』
『祖国から逃げて来た世間知らずの外国人を助けて下さってありがとうございました。』
『正直、出会った頃はただの支払いの良い取引相手としか思ってなかったんですけど。密輸がバレて公安に捕まりそうになったとき、俺はあんたがいなけりゃあ、公安に飼い殺されてるか殺されてるかのどっちかだったでしょうね。』
『ここまで、あんたの手伝いができて、本当に良かった。妹しか頭になかった俺でもあんたの世界を少しでも見れて良かったです。』
『槙島の旦那、俺はあんたに感謝してるし、会えて良かったし、今まで楽しめた。』
『一つ後悔があるとしたら、もっと色んなことを見ておけば良かったと思います。出来ればあんたと一緒に、』
『まぁ、狡噛慎也が関わった時のあんたを見たら、あんたには狡噛慎也がお似合いだと思ったが、それでももう少し一緒に仕事をしてみたかったと思う。』
『こんなこと、言ってもどうにもならないが、俺の自己満足だと思って許してやって下さいよ。』
『おっと、気付いたらもうこんな時間か。』
『じゃあ、槙島さん、槙島聖護さん。俺は先に行きますね。』
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「…………何なんだ、君は」
最後だけ可笑しいだろう
君、死ぬ間際に何をやってくれたんだ
ーー……ッーザザ…
「ん?」
『あ、あと、槙島さんが言ってた研究の資料、集めときましたんで。俺の机の一番下、パスワードはーーーーですよ。今までありがとうございました。』
「……はぁ、全く君は……やってくれるね」
『……パスワードは、 槙島さんの誕生日 ですよ。……』
*****
ー…ガチャ
「……ふむ」
確かに、ラボと管巻教授のデータだね
「……おや?これは彼の手書きか?」
≪11654676834090940617954533≫
≪21105476802334≫
「……はぁ、全く君は……嘘が下手だな」
そんな見え透いた嘘をつくなど、君らしくもない
「いや、君らしいか」
≪330611510432023829540042514051056≫
end.