ショート(リアル)

□30
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今潤くんが家にいる。


ちょっと遅れたけど、カズの30の誕生日祝いをしたい!といってくれて。



毎年誕生日にはプレゼントを送りあうのがメンバー間の恒例行事になっている。



でも今回は30という節目だから、
プレゼントの他にご飯をご馳走してくれるといってくれた。





「何を作ってくれるんですか?」




「何がいい?できる限り希望にこたえるつもりだよ」





そんな話をしたのは数日前。


好物のハンバーグ、毎日暑いし、
さっぱりしたのがいいなぁ。とリクエストして。
和風ハンバーグの材料を買い込んだ潤くんが、
今俺んちのキッチンに立っている。






「すみませんねぇ」



「何いってんの。こんなことしか出来ないしさ。
いつもお世話になってるお礼だよ」



そういいながら、テキパキとまるで自分の家のキッチンのように作業する潤くん。




「何か手伝います?」


少しでも役に立ちたくて、そう問いかけた。


「じゃお皿用意してもらおうかな」



「はーい」



「ふふ、いい返事。」



俺は手伝えることにがらにもなくウキウキして、
今は彼のキッチンと化してる元自分のキッチンに足を踏み入れた。




準備をしている潤くんの後ろ姿をみながら考える。





30っていっても何も変わらないよな。

求められたことにはずれることないよう応えて毎日、日々を重ねていくだけ。

未来を描くことも大事かもしれないけど、
一日一日を積み重ねていくことが
後ろだけでなく先の道を作っていくような気がしているから。



だから30だからとか、今までも誕生日自体に思い入れはなかった。



あ、もちろん自分のに興味がないだけで、俺だって大切な人の誕生日位はちゃんと祝ってあげたいよ?




俺が30てことは、潤くんも同じく30になるわけで。


何かお返しできないかな。

そんなことを考えていた。



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