ショート(リアル)

□癖
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「あー、」



ドラマの撮影が終わり家に帰る。



今日は寒いし、小腹も空いてるし作りおきしておいたスープだけ飲んで寝ようかな…。


簡単に夜食の用意をしトレイを持ってソファーに腰を下ろす。
明日も早いからお酒も飲めないし、少し残念に思いながらリビングで録画しておいた自分達の出演番組を再生させる。



「…俺、あんなこと癖あったっけ…?」



トーク中に頻繁に唇を触る自分がそこにはいた。




よくメンバーから『翔くんの癖うつってるよね』とは言われてたけど、自分ではそんなつもりはなくて。


…無意識、なのかなぁ。


よく好きな人と同じ仕草をすると同調効果で親しみがわいて、なんて話があるけど。

かっこいい翔くんに憧れて真似してたのが抜けてないのかな…。
もう10何年と経つのに。






「ふふ、本当は翔くんて言いたかったな…」



あ、違う。
男でも女でも関係ないんだ。

女だったら付き合いたいんじゃない。

自分が男でも付き合いたいし、だから、今こうして付き合っているんだ。




自分が女だったら相葉くんと付き合いたい、というのはちょっと本音だ。
翔くんが相葉くんを挙げたのも俺と同じこと思ってたんじゃないかな。

明るくて楽しくて天真爛漫で。きっと休みの度にどこかへ遊びに連れていってくれそうだし。
付き合ったら楽しいだろうなって手に取るようにわかる。


翔くんなら頭も良くてかっこよくて、知識も豊富でいつでも好感度ランキングの上位にいる、モテる彼にヤキモキしたり、彼の忙しさと会えない時間に嫉妬してしまいそうだ。
きっとそんな女は嫌いだと思うから。
なら、別れようなんて簡単に言いそうだ。




男として、一人の人間として憧れていた。



厳しくて、でも芯の通った彼の言動は
幼い自分に行くべき未来を示してくれた。


僕もこうありたい。



男だからこそわかる彼のかっこよさに出会った時から惹かれていたのだ。







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