悪魔の隣

□飛行船
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「私、夜はホテルに戻って寝るんだけど、一緒に来ない?」


名無しさんの言葉に柄にもなく若干動揺したヒソカ。


「一緒に?」


「この飛行船ってあまり寝るところとか無いようだし、朝まで休めるようだから」


夜中に何か試験の延長としての課題があるのではとも考えるヒソカであったが、彼女は未来の情報を持っていると以前に言っていたことと、彼女の思慮深く慎重な性格からして、安易にこの場を離れるとも思えない為頷いた。


「もうすぐに出るかい?」


「ここに来た時ね、知り合った子達がいて…少し話したりしたいなって…だからもう少し夜になってからでもいい?」


「……ん、わかった◆」


本当はすぐにでも二人きりになりたいと思うヒソカだったが、他人と関わることすら自分に許可を得ようとする彼女の態度はヒソカの支配欲を酷く満足させるものだった為、今は快く送り出してやろうと頷いた。


そして、一つの打算もあった。


自分が目を付けたゴン達だが、これからも色々とちょっかいを出したいと思うものの彼らは自分に対しては警戒している。


しかし、名無しさんが彼らと親しくするのであれば彼女から彼らの情報が容易く手に入るだろうと思えば、少しの時間彼女を貸すことも我慢出来た。


「じゃあ行ってきます」


そう言う彼女の頬を指先で撫でると、目を細めて頬をすり寄せてくる。


「いってらっしゃい◆」



名無しさんの額に小さな音を立ててキスをすると、困ったように頬を染めて彼女は微笑んだ。




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