鬼狩〜おにかり〜

□鬼狩・壱
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慶長14年、江戸幕府ができはじめて7,8年。
そしてその江戸からかなり離れたところにある村に、彼女は住んでいた。


【赤城道場】ここは女性のための道場である。男の人とは少し気が引ける、女の人同士で稽古がしたいという女性のために建てた道場だ。


ちなみに道場主は赤城 いお。もちろん女性だ。


『…はっ……は……!』


「まだまだ!もっと力をいれて!」


「「「「「はい!!」」」」


私たちは今、素振りをしていた。赤城道場は毎朝筋トレと称して素振り100回、腕立てや腹筋を20〜50やる。


大変だとは思うが、これをしないと皆、男に負けると思うのだろう。必死にやっている。


「雪!もっと腕を大きく振って!」


『…はい……』


「声が小さい!」


『……はい!』


「よろしい!」


……大変だ。ちなみに私たちはこの道場につまりいおに拾われここに住んでいる。


いおは素性もしれない私たちを置いてくれる、とてもいい人だ。それに強い。


だから、私はいおに迷惑をかけないように強くなろうと思った。そして今に至る。


あと、私には一人の弟がいる。葵という穏やかな子だ。
たまに道場を覗きにくるが、「みんな恐いよ…」とこの前はそう言って、ビクビクしていた。

そう、ちょっと臆病な子なのだ。


「お、お姉ちゃん………おーい、………。」


今日も扉の隙間から私を呼んでいた。いつも道場には入ってこないので私が扉の近くで稽古をしている。










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