天宮女学園

□第二話
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結局整理するとこういうことだよね、とうちと宮本さんで確認した。


どうやらうちの学校は二年前、正確に言えば譜久村会長が入学した時点で乗っ取られたらしい。



譜久村、という字を見てうちと宮本さんは絶句したというか唖然としたというか、とりあえず信じられなかった。


譜久村と言えば世界中にいくつも企業を展開してるブランドで、世界のセレブ御用達でその波にのって始めてみた企業も続々大成功を納めているというまさに大金持ち。


そこの娘とあればそれはもう確かに学校側も頭が上がらないわけで。


事実うちも最近急にキレイになった設備もこの学校の志望動機だった。



「でね、聖はそんな学校を世界でも一番の学校にしたくて。


そしたらやっぱりそのトップたる生徒会は聖がメンバーを選びたいなってずっと思ってたんだ。



で、二年前からこの制度を採用してもらったの!」


「ってことは三年間会長ですか?」



「うん。
そうなるかな?」


「りほちゃんそんなことどうでもいいよ・・。


何で佳林たちが選ばれたんですか?」



おぉそうじゃったそうじゃったと、話のスケールにとんちんかんな質問をしてしまったうちと対照的に控えめながら質問した宮本さん。



それをきくと今度は後ろの副会長、えりぽんが質問に答えてくれた。



「それはねー事実上聖の独断。



えりもあゆみちゃんもいちおー意見はできるけど・・・・何て言うとかいな、聖の人を見る目っていうか・・直感?みたいなのは本物やけん。


だから二人は、正式に聖に認められたメンバーやってこと。」



なるほど・・大企業の娘さんならそういう能力があっても確かに不思議じゃないかもしれない。


それにしても何て言う話なんだろう。




冷静に考えてみれば・・・・、



この生徒会に入るのに必要なのは学力でもなければ運動神経でもなく、譜久村会長に認められること。




そして、認められさえすれば、この学園をまとめ、創ることに参加することができる。




もしかしたら、すごいことなのかもしれない・・・・。




「やります。



生徒会、やらせてください!!」









・・なーんて、



「勢いでいっちゃったけど、大丈夫かなぁ。



うちあんまりそういうの向いてないっていうか、まとめるとか苦手なんじゃよなぁ。」



渡された[書記]と書かれた腕章をみてポツリ、と呟く。
実際、やらないといっても通じないような雰囲気だったけど。



もし、うちのせいでダメな学校と呼ばれたらどうしよう、と漠然と考えていた。



そんなとき、宮本さんが口を開く。







「・・でも、かっこよかったよ、りほちゃん。」



「・・え?」




にこりと笑ってうちを見る宮本さん。
まるで小動物のような笑顔に胸が一瞬高鳴った。



「佳林ね、あんまり学校って好きじゃなくて。



友達とかそんなに多い方でもないし、自信だってない。



だから、生徒会なんてほんっとうに無理!!って感じだったんだけど。」






うちと向かい合って、宮本さんは笑う。
手を握られて、うちの心臓はまた大きく弾む。





「りほちゃんとなら頑張れるかなって。



佳林、なんとなくワクワクしてて。
今ちょっとにやけちゃうんだけど。



あ、あとこれから佳林のことは佳林って呼んでほしいな。」


「・・うん!」




うちも普段は人見知りだ。
慣れるまでに二週間は平気でかかる。




でも、この子の不思議な笑顔に、なんかうちも笑顔になる。
あってまだ数時間。
でも、無限の未来を期待できる。




「こちらこそよろしくね、佳林ちゃん。」





天宮女学院、生徒会、発足です





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