天宮女学園
□第一話
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期待に胸膨らむ4月
ダンス部のドアを叩こうとした私は突然何者かに襲われ、気がつくと豪華な部屋にいるというはんぱない事態に巻き込まれていた。
「えっと・・ここは・・。」
学校であることを疑ってしまうほど大きなシャンデリアに、いま座っているふわふわのソファー。
大きな丸い机にレースで可愛らしいカーテン。
・・・思わず高級ホテルを連想させるその内装に、頭はまだ追い付いていない。
「あ、あの・・」
「うわぁ!!」
突然隣から声がするので誰かと思えば、ぱっちりくりくりおめめの美少女がいた。
「こ、ここはどこなんでしょう?」
「う、うちもわからん。
えーと、あなたもつれさられたの?」
おそるおそる質問する。
正直人見知りだけど、今はそんなことをいっている場合ではない。
こく、とその子が小さく頷くより早く、やかましい声が聞こえてきた。
「連れ去られたとか人聞き悪いけん、そんないい方せんでよ!」
適度に着崩された、茶髪のチャラめの人。
笑いながら近づいてきて、私たち二人の顔をじぃっと眺めて満足そうに頷いた。
「うーんさすが聖、こういうことに関してはほんっとに手がはやいっちゃね。
去年金澤先輩やめてどうなるかと思ったけどなんとかなりそうやね。」
そう笑うと、私は怪訝な目をしてたんだろうか、そんな睨まんでよーとバシバシと肩を叩かれ、うちの隣の子はもうビビりまくっている。
「確か、鞘師里保ちゃんと宮本佳林ちゃんやったっけ?
えりは二年の天宮女学園二年の生田衣梨奈。
生田先輩でもえりぽんでもいいけん、好きに呼んで!」
どうやら先輩だったらしい。
えりぽんという語感が妙に気に入った私は思わずえりぽんと呟いてしまった。
そしてまたニヤニヤとする生田先輩もといえりぽん。
佳林ちゃんと呼ばれた子は相変わらず怯えてるようだ。
そしてその時、えりぽん?と上品な声が聞こえてきた。
「あ、連れてきてくれたんだ、里保ちゃんと佳林ちゃん。」
「うん、早速えりぽんって呼ばれた。」
「あ、ち、ちが・・」
「いーよいーよ、えりぽんこんな感じだし。ね、あゆみちゃん。」
「まぁ一応先輩ですからいきすぎるのはどうかと思いますけどね。」
上品の声の隣には、背は小さいけどパリッとした雰囲気の女性が立っていた。
そして気づけば、上品な人は今日の入学式の新入生に向けてメッセージをくれた人だと気づいた。
・・え?
と、いうことは?
「生徒会長、ですか?」
「うん、はじめまして。」
どういうことかさっぱりわからないまま、さっきあゆみちゃんと呼ばれていた人が、お茶をさっきの丸テーブルにおいている。
「お話ししながら状況を説明しましょう、多分混乱してるでしょうから。」
どうぞ、といわれるままに席に着く。
そして、会長の口から飛びでて来たのはみみを疑うことだった。
「えーと、まずご入学おめでとうございます。
そしていきなりですが、二人には生徒会にはいっていただきます。」
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