シングル
□真似っこ
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人間って、真似っこなんだって。
学ぶ、って言葉も真似る、が…えーと、ご、語源?らしくて。
でも、みずきは思う。
好きな人の好きなことじゃなくちゃ、真似る気になれないよって。
「お! 譜久村さん、なんかセクシーですね!」
今日はじめてあったはるなんに誉められ…てる?
「ほんと? みずきが着て大阪のお母さんみたいとか思われないかなぁ?」
「いやいやいや〜こんなお母さんなら大歓迎じゃないですか〜!」
「えー…やっぱりお母さんみたいなんだ…」
そんなことないですよ〜よくお似合いです、なんて言ってくれるけど…
はぁ、だからヤだっていったのに。
お母さんに…あ、これは普通にみずきのお母さんね?うん、お母さんに買うっていったときも少し反対されたのに…
こんな、豹柄。
とりあえず楽屋に入りましょうってはるなんに促されて中に入る。
みんなおはよう、の後の二言目はおぉーみたいな反応で。
なんかみんなにやにやしてるんだけど、それを口に出しちゃう子がいた。
「ふくぬらさん!
うぃくたさんとお揃いですねっ!」
……はい。
そうです。
「ちょっとまさ!」なんて感じでにやにやして言うあゆみちゃんと、あっ!みたいな表情になる香音ちゃん。
そして…
「やっぱりみずき思った通りにあっとーよ!
ほらー!!
やっぱり衣梨奈のファッションセンスよかやろー!!」
なんてはしゃいで自慢げにいってる、真似したくなる人。
別にえりぽんのファッションセンスが良いわけじゃないよ!
だけど…
「みずきー! ブログにのせたいけん!こっち来てー!!」
真似したくなっちゃうんだよ。なんとなく。
っていうか、ああもう、そんなおっきい声しなくても聞こえてるよ。
とびっきりの笑顔に近寄ると……うーん、多分、この顔はみずきしか知らないなって表情をした。
「ありがと、エリのお願い聞いてくれて。」
シュッとした、かっこいいクールな顔。
“好きだよ”
ふふふ…。
ヤバイ、ずるいよえりぽん、さっきみたいに大きい声で言ってほしいのに
耳元で、みずきにしか聞こえないような声で言うなんて。
「ほい、笑って〜!」
あーこれブログに載るのやだなー。
すごいにやけてる気がする、今。
「えりぽん…」
「ん?」
写真を撮って、ご満悦なえりぽん。
また、真似っこしちゃえ。
“好きだよ”
みずきも言うよ、君にしか聞こえない声で。