リクエスト

□イルーゾォ甘々夢
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ああ、暇だ…
私はその辺に転がっていた本を手にとりパラパラとめくっていた。
確か、日本のドウワってやつだっけ。
魔女が鏡に向かって「鏡よ鏡よ鏡さん。世界で一番美しいのは誰ですか?」と唱えると「それは貴方様です」と答える鏡。
馬鹿馬鹿しい、とも思ったが少し興味もあった。喋る鏡か…チラリと壁にかかっている鏡に目をやる。…今、リビングには誰も居ない。
私は本を置いて鏡の前に立ち、あの言葉を唱える。
『鏡よ鏡よ鏡さん…』

「…なにしてるんだ○○?」
ニュッと鏡から顔が出てきた。え?
『うわあっ!?イ、イルーゾォ!?』
「あ、ごめん。そんなに驚くとは思ってなくて…で、何してたの?」
そうだった。鏡の中にイルーゾォがいることを忘れていた。うっかりしていた。恥ずかしい!
『あ…えっとね…ジャッポーネのある絵本に喋る鏡がいてさ。「鏡よ鏡よ鏡さん、世界で一番美しいのは?」って唱えると「それは貴方様です」って鏡が答えるのよ。』
「へぇ…で?」
『…は?』
「言わないの?続き。」
続き、とは私がさっき言いかけた言葉の続きのことだろう。
いやいや、貴方の目の前で言えと?あんな恥ずかしい言葉を?
しかしイルーゾォは私の言葉を待っているかのようにじっと私のほうを見つめている。私は覚悟を決め、同じようにイルーゾォを見つめながら呟いた。
『世界で一番美しいのは誰ですか?』
「…それは貴方だけです。○○。」
イルーゾォはそう言った瞬間、体がぐいっと引っ張られたかと思うと、頬に何か暖かいものが触れる。
それがイルーゾォの唇だと気づいたのはイルーゾォがすでに鏡の奥に行ってしまった後だった。
突然のキスに私は顔が熱くなるのが分かる。
ヘナヘナと糸が切れたようにそこに座り込む。ああ、だめだ。今私絶対情けない顔してる!
バタバタと向こうから音が聞こえる。誰かが帰ってきたのだろう。こんな姿を見られたくはないが、私はただイルーゾォがさっきまでいた鏡を見ることしか出来なかった。

2013/4/21.
一切様リクエストありがとうございました!
甘々…?あれ、私が書くと全然甘々にならない!
こんなんですいませんでしたorz

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