新ハヤテのごとくSS
□最後に君に会いたかった
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「ここは…」
ハヤテが気がつくとそこは真っ暗な空間だった
「あれっ、おかしいな?ぼく死んだはずじゃ…」
今の状況を不思議に思い、ハヤテが辺りを見回すとそこには
「僕が死んでる!?」
血だらけで倒れている自分の死体があった
ハヤテが動揺している時、目の前で何かが光輝いた
そして現れたのは羽兜と西洋の鎧を身につけた美しい女性。かなり美しい顔立ちをしており、キレイな藍色のロングの髪型をしていた
「あ、あなたは誰ですか?」
「私はヴァルキリー。魂を選定するもの」
「ヴァルキリー…」
ハヤテには聞き覚えがある名前だった
あらゆるバイトをしていたハヤテ。その中には古本屋やゲーム屋もあったのだ
ヴァルキリーとは北欧神話の神で戦いの神。戦死した勇者のヴァルハラへと導くと言われている。別名ワルキューレ、ヴァルキリア、戦乙女とも呼ばれている
「そのヴァルキリーさんが僕に何か用があるんですか?ぼく、ついさっき死んじゃったんですけど」
「私と共に行く気はないか」
「えっ?」
「おまえには生きる権利がある」
ハヤテは驚きを隠せなかった
ただの高校生でバイトである自分を神様が勧誘するなんて思わなかったからだ
「で、でも僕は勇者でも戦士でもありませんよ。たしかに人より丈夫ではありますけど…」
「人間よ、力が全てではない」
「………」(どうしよう、このまま終わるより神様のために役立てた方がいいかな…それがアーたんの心を傷つけた僕にできるせめてもの罪滅ぼしになる)
「わかりました。ぼくヴァルキリーさんについて行きます」
「そうか」
「そういえばヴァルキリーさんはどうやって僕を見つけたんですか?」
「私は死を間近にした人間の悲しみや怒り、願い、あらゆる魂の理動を感じとることができるのだ」
「そうだったんですか」
それだけでなくヴァルキリーは死者の人格や人生そのものを共有することできる
「会いたいのだろう」
「えっ?」
ヴァルキリーの言葉にハヤテは驚き、一瞬胸がドキッとした
「そのアテネという少女に」
「で、でも…どこにいるかわからないんのです…」
たしかに会いたい
だが、ハヤテにはアテネは場所がわからないのだ
その現実にハヤテは俯く
「案ずるな。その者の居場所を知るなどたやすいことだ」
「本当ですか!?」
「無論だ」
それを聞いてハヤテはうれしくて涙が流れた
ほとんどあきらめていた願
いがまさかこんなにあっさり叶うとは思っていなかったからだ
「ありがとうございます。ぼくは綾崎ハヤテです。改めてよろしくお願いしますヴァルキリーさん」
感謝の言葉と共にハヤテは決意する。自分なんかの願いを聞き入れてくれたヴァルキリーさんに役に立てるよう戦おうと
いっしょに生きましょう
そのあとヴァルキリーはアテネの居場所を知るためはるか上空に舞い上がり精神を集中した
「……見つけた。西の方角か…しかし、これは…」
ギリシャ、アテネ市
「アーたんがこの町にいるんですか?」
ヴァルキリーの体からハヤテの魂が実体化して出てきた
その姿は生前そのものだ
「そうだ…だが」
「?」
「その少女は邪悪な存在にとり憑かれている」
「えっ!?そ、そんな…まさか!!」
ハヤテには心辺りがあった。小さいころ自分の事を嘲笑っていたあの
「そうだ。おまえが幼い頃見たあの忌むべき存在に」
「お願いですヴァルキリーさん!アーたんを…アーたんを助けてください!!」
アテネの危機にハヤテが黙っていられるはずがない
「最初からそのつもりだ。あのような魂を冒涜する存在許すわけにはいかない」
「ヴァル
キリーさん…」
自分が頼む前からアーたんを助けることを考えていたヴァルキリーにハヤテは心から感謝していた
そして思った。この人について来てよかったと
そして絶対アーたんを助けるんだとハヤテは気を引き締めた