新ハヤテのごとくSS
□アルカイザーハヤテ
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第一話「ブラッククロス」
田舎に続く道路を一台の車が走る
乗っているのは綾崎ハヤテとその兄、綾崎イクサである
彼らは祖母の家に向かっていた
「わたしたちの両親がブラッククロスの幹部と取引している証拠だ。これを警視庁へ持っていけば両親の悪事もそれで終わる」
「イクサ兄さんあの人たちはまだそんなことを…いったい何をしようと?」
「ああ、あいつらはおまえを売ろうとしたのさ、人体実験のモルモットとしてな」
「ちょっ、なんでぼくが人体実験されなけばいけないんだ!もうあいつらとは縁を切ったんだよイクサ兄さん!」
大声をあげてハヤテは驚く
それも無理はない。ブラッククロスがなんなのか名前すら聞いたことがないハヤテだが、なんで売られなけばいけないんだ
「ああ、それはもちろんわたしも知っている。ヤクザとかマフィアとかならもう取引しないだろう
だが、ブラッククロスは違った。あの両親はおまえの強靭な肉体の事を奴らに話し、奴らはそれに興味を抱いた」
「なんて親だ…」
アテネの件などでとっくの昔に見損なっていたハヤテだが、イクサの話を聞いてますます両親のクズぷりに呆れた
「ああ、ほんとに最低だな…だが、あんなんで
もいちおうは両親だ。これ以上あいつらに悪事を重ねさせたくない」
「でも兄さんなんで警視庁に行かないでこんなとこ来てるの?たしかおばあちゃんの実家の近くだよね。それにレンタカーなんて借りてほんと大丈夫なの」
「奴らがおまえを狙っているからな。おまえを匿ってくれる安心できる人に預ける必要があったからだ
レンタカーについては一刻も早く避難させるためだ。レンタル料金については気にするな!おまえの身の安全のためだ安いもんだーははは…」
乾いた笑いをするイクサ。相当無理してお金を使ったようだ
高いスペックを持つイクサもお金だけはそうもいかないのだ
そのとき激しい轟音が鳴り響いた
ロボットのような物体が車に急降下してきたのだ
「う……」
気がつくとハヤテは道路に横たわっていた
車がどこかに衝突した後、わずかな時間気を失っていたらしい
「イクサ兄さん!」
姿の見えない兄の名を呼び、周囲を見回すがイクサは姿は見あたらない
(車の運転中だったイクサ兄さんはほぼ無防備だった…それにぼくが一緒に乗っていたからハンドルを手放すわけにはいかず兄さんはあいつに…)
「くそっ、ブラッククロスのやつらめ…」
ハヤテは
携帯で警察に電話しようとするが携帯は故障していた
ここにいても連絡もとれないためハヤテは鈴音の家に向かった
着いた懐かしの鈴音の家
「うわああああああーーーー!!!!」
だがそこは見る影もなかった
家は炎の海に呑まれ激しく燃えている
窓もドアもすべて炎に包まれいた
もう出ることも入ることさえできないだろう
悲しみと絶望でハヤテは叫んだ
「キサマ綾崎イクサの弟だな」
目の前に2mを越す大男が現れた
その周りには怪しい戦闘服を着た奴らがいた。ハヤテの声に聞きつけてきたのだろう
「死ね。祖母と妹の後をおわせてやる」