新ハヤテのごとくSS

□最後に君に会いたかった
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漆黒の空間の中、ヴァルキリーとハヤテが立っていた
静かにたたずんでいた二人だったが、やがてヴァルキリーが静かにハヤテに語りかける

「本当にそれでいいのか」

「言葉が見つからないんだ。僕には何も言えませんよ」

俯きぎみに返事をするハヤテ

「人の死は残された者にとってその絆が強ければ強いほど、残された者が弱ければ弱いほど痛いほどに心を縛りつけるもの」

「………」

ハヤテには何も言い返せない。ヴァルキリーの言葉があまりに正論のため
まさか強いアテネが自分が死んだ事で泣き崩れるほど自分の事を想っていたとは想像していなかったからだ
恨まれも仕方のない事を言った自分を

「わからないのか。彼女の想いが、時が止まっているのが
お前が彼女を殺しているのも同然だということも」

「だからといって!!」

わかっている。だが自分はもう死んだ人間。もうそばにいることはできない
どうすることもできないんだ
どう言葉をかければいいのか、気のきいた言葉をいえばいいのか
今アテネにしてやれることがなんなのか

「飾る必要はない。自分にできることをやればいいのだ」





茫然と森を見つめ続けるアテネ
その虚ろな瞳に
映るのは森ではなく、かつてハヤテと住んでいた城の生活
ハヤテと触れ合った黄金の日々
もはやアテネには誰の声も届かなくなっているのかもしれない

そんなアテネの前に人影が現れる
近くまで駆け寄ってきたその人影にアテネの瞳にその人物が映る

「ハヤテ!」

目の前に現れたハヤテの姿を認識して、アテネの虚ろだった瞳は以前の凛とした美しい頃に戻った
二度と会えないはずの最愛の人を出会えたのだから
ハヤテはアテネに駆け寄り力強くアテネを抱きしめた
そして優しい言葉をかけた

「ごめん。ぼくはずっと見守っているから…」

「……うん」

アテネはすぐ気づいた
ハヤテが死んでいること
ハヤテに肉体が存在していないこと
魂だけの存在になっていること
でもそれでもハヤテに会えた事には変わりない
死んでいても肉体がなくてもハヤテ本人であることには間違いない
好きな人に会えた。こんなに幸せな事はないだろう

そして実感した。自分が見違いなくヴァルキリーに救われていたことを
それはハヤテの状態。あきらかに浮遊霊とは全く異なった状態であること
つまり自分を助けたのはヴァルキリーだけでなく、ハヤテもだったということ
自分を救い、ハヤテと
会わせてくれたヴァルキリーにアテネは心から感謝した

その後ハヤテとアテネはしばらく抱き合っていた



「まったく…。私は恋をつかさどる天使ではないのに」




あとがき
ゲーム、ヴァルキリープロファイルとのクロスでした
すんごく難しかった…
いくらハヤテのごとくとジャンルがかなり違うとはいえヴァルキリープロファイルとのクロスは大変でした
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