新ハヤテのごとくSS
□最後に君に会いたかった
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深夜、アテネの寝室
(まずはあの少女と英霊を引き離さなければ…換魂の術を応用すれば)
ヴァルキリーは光輝く翼を出し、アテネの体に光を降り注いだ
その瞬間アテネの体から英霊が弾き出された
「貴様…よくも邪魔を!!」
忌々しそうな声をあげる骸骨の化物。ころこそが幼い頃ハヤテが見た英霊キングミダスだった
「ヴァルキリーさんこいつを倒せばアーたんは助かるんですね!?」
その直後、剣を構えキングミダスを睨みつけたハヤテもこの場に実体化する
「今は憑依状態が解けているから大丈夫だが、またとり憑かれないとも限らない」
(アーたん…)
ベッドに深い眠りに落ちているアテネを一瞬視線を向けたハヤテ
懐かしさ、後悔などいろんな感情がハヤテの心に沸き上がるが今は目の前こいつをぶっとばす
そう心に決めキングミダスに対峙する
その少し前方にいるヴァルキリーが険しい表情で冒涜者にとう
「貴様…なぜこの少女に憑依した?何が目的だ!」
「しれたことよ。王石を手に入れるため、王族の力を手に入れるため都合がよかったのでな
それにこの女の能力はかなり有能でな、クックック…」
「そんなことのために…そんなことのためにアーたんに
とり憑かれたのか!!!」
「ほう〜誰かと思えばあの時殺し損ねた小僧ではないか
なんだおまえ死んで神の下部になってしまったのか?クックック…おまえには感謝しているよ。あの時お前がこの小娘を絶望させたおかげで憑依することができたからな
おかげでワシの野望に役立っている」
「っ!!」
実に愉快そうに笑うキングミダスにハヤテを唇を噛み、殺意と憎しみの宿った瞳に睨む
ヴァルキリーは油断なく剣を構え、先ほどより険しい表情でキングミダスを睨みながら告げる
「おろかな…些末な想いの彼方に身を投じるか」
「人の領分を超えた行いが招くのは死ではない。滅と知れ!」
「やれるものならやってみろ。もっとも人間の力を借りなければまともに戦えない神の手先にやられはしないがな」
「試してみるか」
「のぞむところだ」
キングミダスとの戦いが始まった
ハヤテはヴァルキリーにもらった魔剣レーヴァテインを使いヴァルキリーと協力して戦った
そして最後、ヴァルキリーの必殺技ニーベルンヴァレスティが決まり
「消えるがいい。魂を冒涜するおろかな存在よ!!」
「お、おのれぇ!!……よくも、このワシを………ヴァルキリーィィィィィィ!!
!!!」
断末魔をあげ、キングミダスは消滅した
「アーたん…」
静かに眠っているアテネを眺めるハヤテ
アテネがすぐ目を覚まさないのは英霊と魂を分離させて時間が間もないからだ
でもハヤテは満足だった
こうしてアテネの顔を見ることができて、思いもよらないことだったがアテネの危機を救えて
それに自分は死んだ人間だ
声を聞いたら未練が残ってしまうかもしれない
アテネは自分に会いたくないかもしれない
だからこれでいいのだと
「さよならアーたん大好きだよ」
そう言い残しヴァルキリーと共にこの場を去った
・
・
・
「あれ…私………なぜ、ここに……今まで何を………」
それからしばらくたった頃アテネは目を覚ましたのだがアテネはなぜギリシャの別荘に自分がいるのかわからなかった
「…ハヤ…………テ?」
アテネの瞳から涙が流れていた
なぜ自分は涙を流しているのか、なぜ泣いているさえわからない
理解できない
ただ何か大切なものかけがえのない誰かがいなくなった気がした
アテネはただ理由がわからず泣き続けるのだった