新ハヤテのごとくSS

□責任とってよ…グスッbyヒナギク
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月夜の夜の寝室に男と女がいた
二人は熱く激しくお互いを求めあった
長年相思相愛だった二人が、その気になればいくらでも愛し合うことは必然
どれだけの時が過ぎたかはわからない
二人は生まれたままの姿でベッドに寄り添うように横たわっていた

「アーたん」

「なあに、ハヤテ」

「愛しているよ」

「ふふ、うれしいわハヤテ。もちろん私もハヤテをこの世で一番愛してますわ」

「僕だって」

心身共に満たされた幸せを感じているハヤテとアテネ

「ずっとこのままでいられたらいいのに…」

「…アーたん」

ベッドから上体起こしたアテネが切なげにつぶやいた
ハヤテにもその理由がわかっているゆえに心配そうな顔をしている


「そろそろ時間みたいね」

「アーたん!嫌だ!逝かないでよ!!」

「…ごめんねハヤテ、私のせいでまたハヤテにつらい想いをさせてしまって……」

「アーたん!」

今にも消えそうなアテネを抱きしめようと起き上がったハヤテだが、その手はアテネの体をすり抜けてしまった

「もう私の霊体は自分の肉体から離れましまいました……もう二度と肉体に戻ることはできないわね……」

「そ、そんな…他に何か方法が!」

「も
ういいのよハヤテ…私はもう十分すぎるほど幸せよ。みなさい私の顔を」

アテネは女神ような微笑みを浮かべながらベッドに横たわる自分の体を指差した
ベッドの上のアテネは実におだやかに幸せそうに眠っていた


「アーたん!アーたん!死んじゃ嫌だー!!!」

悲しみがハヤテの心を支配する
ハヤテには感情を抑えることができず、ポロポロと涙を流した

「ハヤテ私は幸せなのよ。好きな人に愛されて結ばれて最後に看取ってもらえたから」

「アーたん…」

「だから…」

アテネはそっとハヤテの唇に目を閉じながら優しくキスをした
肉体の枷がなくなったアテネはハヤテに
触れることはできない
だが、ハヤテにはアテネの暖かい心に感じとれた

「今度こそ私のために泣く涙はこれで最後よ…」

ハヤテの唇から離れたアテネの表情は優しく美しかった

「あなたには未来がある。だから私のことは過去の思い出にして新しい人生のパートナーを見つけなさい」

「そんなのイヤだよ!ぼくは…ぼくはアーたんがこの世で一番好きなんだから!!
アーたんと同じくらい愛することもそれ以上愛することもできないよ!それに僕なんか好きになってくれる人なんか…」

「大丈夫。
あなたはとても愛情深い優しい人よハヤテ。わかってくれる人はたくさんいるわ
それに私なんかよりもずっと素敵な人が現れるわ」

「うう…アーたん……」

ハヤテにはアテネの姿が蜃気楼のようにぼやけて見えた
涙のせいではない。アテネの霊体が限界近いが近いのだ
そして、

「さよなら…ハヤテ…私、あなたに会えて本当によかった……」

「アーたん!!!」

アテネは涙を少し浮かべ笑顔でハヤテに別れを告げた
アテネの霊体が光に変わり天へと登っていった



「……なぜだ」

「なぜアーたんが死ななければならないんだ…あんな心優しいアーたんが………こんなに早く死んでしまう運命なんて……こんなの間違っている
むしろ死ななければいけないのは僕の方だぁぁぁ!!!くそっ!!」

アテネを失った悲しみとアテネを救えなかった自分自信への不甲斐なさにハヤテは涙を止めることができず泣き続けた
ハヤテは悔しさを抑えきれず自分の拳で壁を叩きつけた

「この世に救いなど存在しないのか…」

絶望したその時

急に目の前がまぶしく輝いた

「お前の願いを叶えてやろう」

「なっ!?だ、誰ですか!あなたは…」

突如現れたまぶゆい光まとった白装束に
ハヤテは警戒する

「神だ」

「!?」

「そなたは恋人天王州アテネを蘇えらしてやろう」

「ほ、ほんとうですか!?」

「本当じゃ。私はあまりの高位の神ではないし、アテネの魂も相当弱っているからな。このまま生き返せるのは難しい

「ど、どうすれば…」

「手はある」

「えっ!?」

「ただしそなたの命を半分使わせてもらうぞいいのか?」

「はい!かまいません!それでアーたんが生き返るなら」

ハヤテには一瞬の迷いもなかった
ハヤテにとった最愛の女性アテネを生き返らせることができるならいくらでも命をかけることができる

「そうか…いい返事だ。願いを叶えてやろう」

神は神々しい光が放ちながら消えた
そしてアーたんの全身が光り
光はほんの数秒光ったあと消えた
そして、

「ハヤテ…」

「アーたん!」

アテネは生き返った
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