Spirit Ball

□最強の女―神流崎 海奈
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「出たんだってよ!」

背の小さい男が自分より一回り背の高い女に話しかけていた。

「聴いているのか?風美(かざみ)!」

風美と呼ばれた女は、興味なさげな目を向けて、一言、ふーんと言うと、花に水をあげようとじょうろを傾けた。

「あの噂の女、最強女が天才連続窃盗犯と呼ばれた男をあっさりと捕まえたんだぜ?!」

「窃盗犯に天才もなにもないでしょ。犯罪じゃん。捕まえられて当然」

風美はからっぽになったじょうろをくるくると指で回し始めた。

「俺、その最強の女に弟子入り志願してくるっ!」

「っ…?!…ちょっと册(さく)!」

册は風美の言葉にもお構いなしに出て行った。

風美は一人ぽつんと残された。
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