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□バンパイアの館は暗黒
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それは一瞬の出来事で。

高いところが大好きな寧々子は、今日も高いところに登っては、上から景色を見下ろした。

あの信号機が小さくなって、相変わらず赤を示している。

―あそこの信号機長いんだよなー。

寧々子は、眼鏡を上げて、そして青になって動き出す小さい人間を見ていた。そして思う。

―私がここに登ってくるまでに、何回青になったんだろ。

寧々子は暫く、小さい町を眺めていた。そして向こうの青い海に目を向けた。

キラキラしていて、そして眩い。寧々子は目を細める。

―…もう夏だな…。


それは、蝉の声がどこからも聞こえてくる、蒸し暑い日であった。
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