Spirit Ball
□最強の女―神流崎 海奈
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なめる様に輝く月の光に照らされて、一生懸命息を切らせながら男は走っていた。
その男は誰かに追われているようだった。
後方をずっと注意して走っていたせいか、前にあるフェイスに気付かずぶつかった。
その瞬間に響く鋭い声。
「―ここまでだな…」
ちょうど月が雲に隠れて顔が見えなくなった。男は顔を真っ青にした。
「大人しくするんだな。お前はもう縛につく」
「っ…―なっ」
悪あがきをしようと男はフェイスに手と足をかけた時。
―シュっ!
男の右頬ぎりぎりでクナイが飛んできた。
「っな―!」
男は観念して、相手に顔を向けた。
「…聴かせてくれ…お前の…名を…」
月が現れた。
漆黒の髪に黄色い目が光る。
「教える気はない…」
端麗な顔をして、その女は言った。