咲降る日、急く
□犯人は逃走中
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春夏秋冬は、穏やかな風に身を包み、一人読書をしていた。
気持ちのいい朝。
春夏秋冬の顔は綻ぶ。
「―――――!!春夏秋冬様!!!」
―ドテッ。
いきなり勢いよく現れた者の存在に春夏秋冬は姿勢が崩れそうになった。
息を切らせ神妙そうな顔をしているのは季朱。
「ど、どうかしたのですか?」
春夏秋冬は目の前に立つ季朱を見上げ、尋ねた。
「お、御隠れください!!」
そういうやいなや季朱は春夏秋冬の腕を引っ張って立ち上がらせる。
「ちょ、ちょっと季朱?!」
「今ちょうど!真亜乃さんとルーブリーさんがいらっしゃっています」
「あ…そうなのですか、なら行かなくては…」
「いいえ!」
季朱は春夏秋冬の口に手をあてた。
春夏秋冬は驚き、季朱を見た。
真剣そのものの季朱の眼。
「…いいですか…合図をするまで出てこないでください…これは真亜乃さんのお願いです…」
これ以上何も言わないでください。
流れる異質な空気を読み取って、春夏秋冬は頷いた。