咲降る日、急く
□季朱の御先祖様
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季朱は夢を見ていた。
どこか遠い記憶。
やがてその景色が薄明るくなって―
消える。
―…。
季朱はまだ薄暗い中、眼を開けた。
昨日眠ったのは遅かったはずなのに、時計は5時を指していた。
昨日は、主の帰りと、真亜乃の目覚めを待っていた。
真亜乃の目覚めが早かった。
季朱は昨日起こったことを真亜乃に話した。
真亜乃はやはりそうでしたか…と言った。
どうやらとりつかれた事を自覚していたらしい。
そして説明の後で、季朱は疑問を尋ねた。
「…何故……マカさんは……春夏秋冬様に直接伝えず…この私に言ったのでしょうか……」
真亜乃は大きな目を伏せて、
「…きっと……春夏秋冬さんを守れるのは季朱さんであるという事だと思います…。季朱さんには強さがありますし……不思議な力がありますから……」
「……………えっ……?」