咲降る日、急く

□人の役に立ちたくて
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「その子の探し物…というより、取り返して欲しいそうです…」

真亜乃は季朱に教える。

「その子は…どうやら同い年の女の子に、大切にしていた物を取られたようです…」

「…それがあるからこの世に留まり続けているんですか?」

「…そうらしいです…」

真亜乃は季朱の後ろをじっと見る。

「どうしても取り返して欲しいと。そうしないと…お祖母さん?に会えないそうです…」

「…?」

季朱はある単語に引っ掛かったような気がした。どこかで聞いたことがあるような―

「…取り返して欲しいんですね…?それを私に頼むのですね…?」

「お受けになりますか?」

真亜乃は季朱に尋ねた。季朱は真っ直ぐ眼を向けて、力強く頷いた。

「俺も協力したいな」

「分かりました」

真亜乃は再び季朱の後ろを見て、大きく頷いた。

季朱は嬉しいという感情を持った。

頼りにされているというのはとても嬉しい。

人の役に立つ事はすごく嬉しかった。

「やらせていただきます」

例えそれが霊でも関係ない。

霊も人間だ。喜怒哀楽の感情を持つ人間である。

頼られることに嬉しさを感じた季朱は、快くその依頼を受けた。
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