咲降る日、急く
□メロディーに言葉をつけて
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―ポーン…。
フレッゼはピアノの鍵盤を押した。フレッゼは両手を鍵盤の上へ持ち上げ、そして勢い良く弾き始めた。
ダーン!ダーン!ダン!タッタッタ、タターン。
ダーン!ダーン!ダン!タッタッタ、タターン。
タータータン、タッタタタタタータータ、
タータータン、タータンタター…
フレッゼはここまでスムーズに弾くと、スッと両手を膝の上に置いた。
「…」
フレッゼは静かにまた同じのを弾き始めた。
「…」
季朱は外でこの音楽を聞いていた。フレッゼ宅に用があり、呼び鈴を押そうとした時、ピアノの音が聞こえた。
季朱はそっと、窓に近づき、覗いてみた。
フレッゼさんが鍵盤の上に手をかざす。
そして勢い良く弾き始めた。
まるで叩くかのように。
それによって響く音。
フレッゼは何か感情を表したいようだった。
穏やかな波だったのに、急に大きなうねりをあげて襲い掛かるような。
季朱にはそう感じた。
このメロディーが耳から離れなくなった。