咲降る日、急く

□メロディーに言葉をつけて
1ページ/15ページ


―ポーン…。

フレッゼはピアノの鍵盤を押した。フレッゼは両手を鍵盤の上へ持ち上げ、そして勢い良く弾き始めた。

ダーン!ダーン!ダン!タッタッタ、タターン。

ダーン!ダーン!ダン!タッタッタ、タターン。

タータータン、タッタタタタタータータ、

タータータン、タータンタター…

フレッゼはここまでスムーズに弾くと、スッと両手を膝の上に置いた。


「…」

フレッゼは静かにまた同じのを弾き始めた。



「…」

季朱は外でこの音楽を聞いていた。フレッゼ宅に用があり、呼び鈴を押そうとした時、ピアノの音が聞こえた。

季朱はそっと、窓に近づき、覗いてみた。

フレッゼさんが鍵盤の上に手をかざす。

そして勢い良く弾き始めた。

まるで叩くかのように。

それによって響く音。

フレッゼは何か感情を表したいようだった。

穏やかな波だったのに、急に大きなうねりをあげて襲い掛かるような。

季朱にはそう感じた。

このメロディーが耳から離れなくなった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ