咲降る日、急く
□役立たず
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季朱は外を見た。木葉が風に揺れていて、とても冷たい日。
こんな日に、季朱の主、春夏秋冬は仕事で出掛けている。しかし、そろそろ帰ってくる頃だと季朱は時間を見て思った。
季朱は台所に向かい、水を沸かそうとした。
ふと手を止める。
―…私が勝手に水沸かしていいものだろうか…光熱代もかかる…。
季朱は気後れを感じ、台所から身を離れた。
玄関の扉を開く音がした。
春夏秋冬が帰ってきた。
季朱もお出迎えしようとベッドからおりようとした時。
「お帰りなさい、春夏秋冬様。どうぞコーヒーを」
―!
聖の声と、嬉しそうな春夏秋冬の声で季朱はピクッとした。
―…。
季朱はその場から動けなくなった。