咲降る日、急く
□それぞれの過去
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「…ふう…」
夜が更けた頃。静かになった中里家の玄関に背の高い男が入ってきた。
その時バッとつけられる明かり。
男は目を細めて前を見た。
「…お疲れ様です…聖」
「春夏秋冬様」
黄色い髪をオールバックにして、綺麗な顔を主に向ける。
春夏秋冬は微笑み、お礼を述べる。
「ありがとうございました」
「いえ…」
聖は階段を上り、部屋に向かおうとした。
その時気配を感じ取り、その方向を向く。
暗い廊下で何も見えないが、こっちに近付く音につれて徐々に姿を現し始める。
「…あ」
季朱は初めて見る人間に少し驚いた。
しかし季朱以上に聖が驚いた。
「お前…ここにいたのか…!」