咲降る日、急く
□私が知っているあの人
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自分の知らない主が目の前にいる。
季朱は一気に春夏秋冬が見知らぬ人物に見えてしまった。
―恐い…。
[大丈夫だ、季朱さん]
フレッゼはシノアと戦いながら、季朱に語りかける。
フレッゼはまるで季朱の不安を感じ取っているように思えた。
[春夏秋冬さんは季朱さんから離れていかない。いつでも、季朱さんが知っている春夏秋冬さんだよ]
季朱は眼を見開いて、そして力強く言うフレッゼがとてもすてきに見えて。
心が軽くなったのは本当。
季朱は大きく頷いて、
そして春夏秋冬を見る。
春夏秋冬は必死な顔をしていた。
―あ…。
季朱はこの春夏秋冬は知っていた。
いつでも、仲間を守る時はこういう顔だった。
「…春夏秋冬様……」
―お願い…生きて…。