咲降る日、急く
□私が知っているあの人
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「…―」
季朱は目の前で戦う春夏秋冬を見て驚いて、そして胸を押さえた。
見たこともない春夏秋冬。
強すぎる春夏秋冬を見て、季朱は恐れと同時に尊敬、そして手に届かぬ人物だと感じた。
やはり春夏秋冬の足元にも及ばぬ己の剣術。
季朱はただただ頭を項垂れるしかなくて。
[ははっ無駄無駄]
季朱はフレッゼの中国語を聞いた。
フレッゼの方を向くと、シノアを圧倒しているフレッゼの姿が見えた。
フレッゼも季朱を見ていた。
[大切な人を守る時って、人は普段の倍以上強くなるんだ]
フレッゼが季朱にそう言った。
フレッゼはいつでも、大切な事は中国語で季朱に伝えてくる。
―大切な人…。
「はっおめでてえ!!!」
春夏秋冬とやり合いながら瑞樹が叫んだ。
「だけどな!」
キンキンキン!!
「身分違いの恋なんて報われねえ!!あいつだってそうだった。あいつはお嬢様に裏切られたんだよ!!」
キン!!
―!!
瑞樹は春夏秋冬の剣によって傷つけられた。
「っグホ!!」
瑞樹は胸を押さえる。
春夏秋冬は迫りくるリュノスと戦いながら言った。
「口を塞いでしまいましょうか?!」
春夏秋冬が声を張り上げる。
そんな春夏秋冬など見たことない。
季朱は不安を持った。