咲降る日、急く

□私が知っているあの人
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「っ……」


季朱は大きく肩で息をする。


「あんまりなめてもらっちゃ、困るねー」

瑞樹は嬉しそうに剣をくるくると動かしながら、剣の先を季朱に向ける。

「弱いね」

瑞樹は季朱の頬を剣で撫でる。


「終わりかな…」



瑞樹は剣を大きく上げた。


傷だらけの季朱の動きは鈍くなって、頭も朦朧としていて、

俊敏な動きが出来ない事は誰が見ても分かる。

「ばいばい」

瑞樹の剣が大きく振り下ろされた。




―ガキん!!!!


「っ?!」

「!」

「…」

春夏秋冬が瑞樹の剣を止めた。

「っな!リュノスはっ…」

「リュノスには大きな傷を与えてしまいました」

春夏秋冬の衝撃な発言に、瑞樹は一歩下がる。


―あのリュノスが?!―

「…春夏秋冬様…!!顔から…血…」

季朱は慌ててよろける身体を起こそうとした時。

「大丈夫ですか?!季朱!!」

春夏秋冬に強く抱きしめられていた。

「っ…な」

瑞樹は慌ててリュノスを探す。

リュノスが見つかった。

腹から血を流しているリュノスが。

「血を出している…リュノスが?!」

あり得ないとばかりに眼を見開く。

「……」

瑞樹は春夏秋冬の方を向いた。

春夏秋冬は季朱の身体を労わっていた。

「…そんなに…そいつが大切か…?」

あの強いリュノスを倒してまで、季朱を助けに入った春夏秋冬の行動は最早普通の者では出来ない事。

「そんなに、そいつが好きか?」

瑞樹の問いに、季朱は赤い眼を見開く。
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