咲降る日、急く

□メロディーに言葉をつけて
4ページ/15ページ


それからよく季朱はフレッゼの家へ行くことが多くなった。

季朱とフレッゼは、一つ曲を作りたいねと、協力していた。


そして完成したら、皆に披露するつもりで。





「では、ちょっと行って参ります」

季朱はいつものように中里の家を出ようとした時。

「散歩ですか?」

主が声をかけた。

「っ!」

季朱の肩がはね上がる。


「っ…まあ…そんなところです…」

季朱は春夏秋冬の眼など見れずに、玄関のドアノブを強く握り締めた。

「では、ご一緒してもよろしいですか?」

「!」

春夏秋冬の明るい笑顔にも屈しないで、季朱は断る理由を必死で考えた。

「いえ!少し走ろうかと!私何かと運動不足で!」

季朱は一刻も早くこの状況を脱したく、ドアを開ける。

「運動不足は納得できませんが、走るくらいなら付き合いますよ」

「いえ!20キロは走ります!」

春夏秋冬はニコリ。

「ちょうどここから海まで20キロあります。海に行きませんか?」

「っ…」

季朱は観念した様子で、コクリと頷いた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ