咲降る日、急く
□命を奪いに参ります
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「はあっ…はあっ」
春夏秋冬の数え始めと同時に、猛スピードで走った季朱。
剣の重みが季朱の動きを鈍らせ、疲労を大きくさせる。
―ダメだ…気配を消してやがる…。
中里の広い庭の中に季朱は息を殺していた。
いっそのこと、殺してくれた方が楽だろう、緊迫した空気が季朱を締め付ける。
―…殺される!
季朱の頭には春夏秋冬の恐怖で溢れていた。
甘く、弱弱しいやつだと最初思っていたのに、どうやらそれは春夏秋冬の仮面だったらしい。
本性は小さな子どもでも容赦せずに斬りつけることが出来るような。
殺すことを躊躇いはしないような。
―…。
―ザァ…
季朱はバッと音がした方向を見た。そこには緑色に照らされた草があるだけだった。
しかし季朱の顔色は変わらず、慌ててその場を離れた。
季朱の去った場所に現れた者。
「…良い勘をしていますね…」
鋭く光る、青い目があった。