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□御前が悪いんだヨ?
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今夜の相手は少し手強く、異能を使いすぎた所為か大神がロストした。
幸か不幸かロストしたのは倒した直後であって任務にはそう影響を及ぼさなかった。
 
 
 
 
「 大丈夫、零チャ-ン? 」
 
 
俺の隣で座り込んでいる彼にそう問いかけたが返事は無かった。
ロストしているのもあるが心配されているというのが癪なのだろう。
返事の代わりに大神はそっぽを向いた。
カチン、と頭に来たがこういうことはよくある事だ。自分も大人になろうと黙っておいた。
 
 
 
 
( どんだけ意地っ張りなんだカ。 )
 
 
口には出さないがそう思いふう、とため息をつきながら頭を掻き毟った。
どうしてこう素直にならないものかといつも困らせられる。
 
 
 

「 あのサ、そんなとこで座り込んでも困るんだケド。 」
 
 
立つように促すと彼はよろよろと立てひざをつきながら立ち上がろうとした。
が、それはならず膝からガクンと崩れ落ちた。

 
  
 
「 くそ...っ、 」
 
 
自分の無力さからそう呟く彼を上から見下げると随分と弱弱しく、痛々しく見えた。
服や髪はいつもより乱れ、上着は肩からずり落ち座り込んでいる姿も重力に負けているという感じだ。
肩は息をするたびに震えながら上下している。
静かなこの空間に荒々しい息がやけに大きく聞こえる。
それが大神の呼吸だと分かると何だかだかいじらしいくいやらしい。
 
 
 
 
「 ・・・とき? 」
 
 
自分はそんなに黙っていただろうか。
沈黙を不審に思った大神が此方を向き、目を潤ませ眉を曲げたといった苦しげな表情の中に疑問の意を浮かべ首をかしげた。
こちらからだと大神は上目遣いに見える。
 
 
( やっべ...めっちゃ可愛いんですケド。 )
 
 
 
 
思わず衝動に駆られ、顎を掬い上げると彼に口付けた。
突然の事に彼は驚くも、ロスト中で抵抗力はなくそれを受け入れるほか無かった。
 
 
「 っ...、や、め 」
 

必死に閉じようとする口を舌でこじ開け、彼の舌を絡め取る。歯列をなぞり深くまで進入すると甘い声を出し始めた。
 
 
「 ん...あっ、ん・・・ 」
 
 
ぎゅうっと自分の服の袖を掴み、必死に捕まっている仕草が愛らしい。そのうち目もとろけ始め服を掴んでいた力も弱くなった。倒れそうになる彼を支えながら夢中でキスしていると、息が苦しくなったのか弱く胸板を叩きSosを発している事に気付き、つうと糸を引きながら唇を離す。
 
 
「 ごちそ-サマ。 」
 
 
ぺろりと舌を舐め満足げな顔を向けると大神は不快そうに睨んだ。
だが紅潮し、目に涙をいっぱい浮かべている艶っぽい顔では何も怖くない。
それどころかさっきより息は荒くなり、弱弱しさが増し、なんとも言いがたい様子になっていた。
 
 
彼は気付いていないのだろうか、自分の色気に。
ああ、これだからもう。
 
 
 
 
( 御前が悪いんだヨ? )
 
 
 
 
このあと乱れるまでキスしたのは言うまでも無い。
 
 
 
 
 
 
 
 

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