長編 男主2

□第3話 Light and Shadow
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雑賀、お前は自分が目立つことしか考えとらん
いつまでもお前がそんな調子では全国制覇なんて無理な話だろう


なら…俺にどうしろって…


そうだな…お前は海南の“影”になるんだ





〜Light and Shadow〜




体育館内に響くドリブルの音と部員のかけ声


まだ蝉がうるさく鳴く季節でもないのに拭いても拭いても汗が額に滲んでくる


開け放たれた扉から時折心地よい風が頬をかすめていくがそれも気休め程度にしかならなかった


そんな中ふと思い出した監督の言葉
俺が1年の時に言われたことだが今でも鮮明に覚えている
あの時は監督が何を言いたいのか全然わからなかった


言葉の意味もわからないままいたずらに時間だけがどんどん過ぎていった


そんなある日たまたまテレビで見たバスケの試合


リーグ連覇している王者と突然降って湧いた無名の挑戦者とのゲームだった
観客も当然王者を応援しているし俺も勢いのある王者が圧勝すると思っていた
あの試合を見ていた誰もがそう思っていただろう


だが予想に反して挑戦者が王者を破った


挑戦者のチームは1人のエースプレーヤー以外は王者のチームより明らかに劣っている


けれどエースが軸になり他の4人がお互いを支えエースを支え5人がひとつになっていた


この試合を見て始めて監督の言葉の意味がわかった気がした
中学の頃みたいに俺1人が暴れ回っても意味がないんだって…


「おい雑賀!何やってるんだ早く来い」


不意に呼びかけられ顔を上げると牧がボールを持って手招きしていた
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