大家Cの書庫

□曖昧な境界線を、当たり前とでもいうように跨いだ変態
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どうやら、それはアイツの最近のブームらしい。




まるで舐めるように足元から太もも、尻から背をなぞっていくのは…視線。




アイツもオレが気づいてることを知っていて、なおも続けているのだからたちが悪い。




確か、妄想型や透視型とか様々なタイプがあったはずだ。…視姦の種類には。




今もレンと話している自身の背後から、ゾワリとしたものを感じている。…いい加減にして欲しい。




…けれど振り返って咎める勇気は生憎持ち合わせてはいない。




それは何故かと云えば、以前…といってもほんの5日くらい前だが、楽しそうに笑いながら近づいてきたちゅー太が云い放ちやがった。




「ねぇ、いつからそんな羞恥プレイするようになったの?」




もちろんあの頃のオレはちゅー太の云ってる意味が分からず疑問符を頭に浮かべるばかりだったが、話を聞けばどうやらリキがオレを見ているらしい。




…それも、かなりの欲を孕ませた目で。




つーか、このガキはそういう変態用語をどこから仕入れて来るのだろう。この前の誕生日にレンが大人の玩具をちゅー太からプレゼントされて、魂抜けてたし。




近頃のガキは侮れん…。




そして今現在、件の悪魔のような子どもの愚痴をレンから聴いてる最中である。




「ったく、誰だよ。あいつに意味不明なエロネタ仕込んでんの」


「さぁ?直接本人に調査してみれば良いんじゃねーの?」


「…それしかねぇか」




ただし、そのまま部屋に連れ込まれて食される可能性もあるぞ…とはあえて云わない。オレも男だ。好意を寄せる相手をどうにかしたいというちゅー太の気持ちは、分からなくもない。…相手は野郎だが。




オレの助言が利いたのか意気揚々と立ち上がりリビングを出て行った背中に内心手を振り、1つ息を吐く。




ガランとした真昼間の室内。外からはアルやロップの騒がしい声が聞こえる。




ソファーにゴロリと仰向けに寝転がり、横目で壁掛け時計に視線を向ければ短針が1長身が2を指していた。




昼ご飯を入れた腹は満腹で、うっかりこのまま昼寝してしまいそうだ。…また食って寝ると太るぞ、と天龍に云われそうだから寝ないけど。頑張るけど。




「……で、お前はいつまでそこでオレを見てるわけ。まぁ、イケメンを見たくなるのはわかるんだけどさー」


「うわぁ…マジできついからやめてよね。そういう冗談」




ドン引きした声がキッチンの方から聞こえる。




先程からアイツはキッチンに完備されているカウンターのイスに座っていた。ちなみにこのカウンターは、彼のシェフ様が備え付けたい!と云ってリフォームの後につけられた。




実際ここは、たまに成人たちの酒飲み場となっているので損はなかったと云えるだろう。…オレも早く飲めるようになりてぇ。




ふと聞こえた足音。上げた目線の先には覗きこむように自分を見下ろしている大きな双眼。




真っ直ぐにオレを眺めたまま、ストリとリキはフローリングに腰を下ろした。



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