ショート(復活)
□なんて無謀な恋をする人
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彼はある日の二人だけの放課後、俺に
泣きそうな
でも、泣かないだろうと
そう思える表情で零したことがあった。
「ねぇ、山本?」
「どうしたのな?」
「恋ってしたことある?」
「…!!」
「…山本?」
「ぁ…いや…ないなぁ。俺は今は野球一筋だからさ!!」
「ふふ…そっか。そうだね。」
「急にどうしたのな?」
聞いた俺を見る彼の瞳は怖いくらい澄んでいた。
「いや…恋ってさ…辛くて、悲しくて、苦しいけど…それでも…
諦めたい、とか、もうやめたいって気持ちにはならないんだよ。
好きでよかったとは思っても、好きじゃなきゃよかったとはどうしても思えないものだなって…
それはどうしてだろうって思ってさ。」
そう言って笑った彼はあまりにも…
儚くて綺麗だった
俺は返事もできずに思わず泣きたくなった。