ショート(復活)
□メルヘンな誕生日
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暫く歩くと…
ガサガサ!!
「!!」
前方で草が不自然に揺れた。綱吉の頭の中では先ほどのリボーンの言葉がぐるぐると旋回していた。ごくっとつばを飲み込む。
「だ…「十代目―――!!!!!!」………………獄寺くん…。」
飛び出してきたのは、全身紫しましまの猫耳をつけた獄寺だった。綱吉はその姿に言葉も出ないが、獄寺は違った。
「嗚呼!!十代目!!なんて麗しいお姿でしょうか!!よくお似合いです!!!」
「へ?」
いままで自分の服装なんて気づかなかった綱吉。目線を下ろしてみると…青いエプロンスカートにしましま靴下…え、これって…
「不思議の国のア○ス――――――!!?」
(ええええ!!?リボーン!!?なにを考えているの!!?てか、それなら獄寺くんのは…)
「獄寺くん?その服……………」
「はい!!チェシャ猫です!!さすが十代目!!!一目でわかるとは!!!!」
「あははは…」
苦笑いしか出てこない…
(そんなもろな格好してたら誰でもわかるよ…獄寺くん!!)
「そういえば、獄寺くんはここでなにしているの?」
「はい!!実は十代目の一番欲しいものをこの不肖獄寺!!用意させていただきました!!!」
「本当!!!?」
「はい!!」
こんなに早く見つかるとは思わず驚く。でも、これで出られる!!と喜び勇んでついていく。
(やった!!これで目的が果たせる!!わかんなくて焦ったけど獄寺君が知ってて良かった―)
「…あれ?そういえば獄寺君。」
「なんですか?」
「俺の一番欲しいものって何??」
獄寺がビキッと固まった。綱吉はその反応に驚く。
「獄寺君?」
呼んでも返事は無い。そのとき綱吉はものすごい悪寒に襲われた。
(な、何!?)
逃げた方がいい予感がする。綱吉はそろそろと後ずさった。そして、獄寺の手が届かない距離まで後ずさるとそのまま踵を返して走る。
「あ!!十代目!!!何故お逃げになるんですかぁぁ!!!!!」
「ごめん!!」
「十代目ぇぇ!!俺のプレゼントを受け取ってくれないんですかぁぁ!!?」
「プレゼントって何なの―――――?!!!!」
「え…/////」
(聞かない方がいい!!聞かない方がいい気がする!!)
綱吉は耳をふさぎ (顔を赤らめてぼそぼそ「それは…お…お…」とか言っている獄寺君なんて知らない見てない聞いてないと言い聞かせながら) 走ると、先に何故か扉が見えた。
(!!!あそこ!!?)
「十代目ぇぇっぇぇ!!!!」
獄寺の声を背中に綱吉は扉の向こうに飛び込んだ。