ミックス(混合)

□破った約束を再び誓う
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「なにしに来たんだ。」


唖然としたのも一瞬。
すぐに警戒心を取り戻すと、いつでも動けるように構えたまま狡噛は詰問する。
その様子に綱吉は弱り切った情けない顔で苦笑し、雲雀は肩をすくめた。


「え―と、何をしに来たと言われると…簡単にいえば勧誘ですかね?」

「勧誘?」

「はい。あの、えっと…実は俺たち…」

「ボンゴレっていうマフィアでね。君が世界からはじき出されたと聞いて彼が勧誘に行くって言い始めたのさ。僕はその御供。」

「ああ―――――!!!なんで言っちゃうんですか!?俺が言おうと思ってためていたのに!!」

「なに。あれだけスベッといてまだやる気なの。」


馬鹿じゃないの。

そう心底呆れた目で憐れまれる。
ぐっと息を詰まらせた。


「ち、違います。さっきはちょっとずれただけです。今度は…なるべく驚いてもらおうというか…親近感を持ってもらおうというか…」

ハッと鼻で笑われた。
くそう。だんだんと地団太を踏む。


「綱吉。」


呼ばれ、ハッと我に返る。
狡噛を見ると警戒しつつも胡乱げな顔で見ている。綱吉はあわてて取り繕う。


「あ、あの!!えと、そうです!!マのつく職業になりませんか?」

「「……。」」


どこかで聞いたようなキャッチフレーズをひねり出してきた。
哀れな馬鹿を見る目で見つめられた。
泣きたい。もう、本当に泣きたい。
ガクッと膝をついて項垂れた。
そんな綱吉にはぁ…とため息を吐きだし、雲雀が向きなおる。
狡噛もスッと表情を引き締めた。


「まぁ、誘い方はともかく…勧誘は本当さ。どうだい?僕らの組織に入る気はない?」

「……俺はもうこれ以上、罪を犯すつもりはない。」


狡噛はバッサリと切って捨てる。
自分はもう犯罪者だ。
これ以上罪を犯したとしても裁かれるのはかわらなし、たとえ変わったとしても罰が増えるだけだ。
ならば、裁かれるときに朱に少しでも失望される要素を無くしたいと思うのは狡噛の我儘だろうか。
意味のないことだろうか。
しかし、それ以上に叶えたいこともない。


「悪いがその誘いは断らせてもらう。」


きっぱりと言い切る。
その言葉にウソも誇張もない。本音だった。
雲雀にもそれがわかる。
本来ならば、その時点で引き下がるものだった。

それがセオリー。

しかし、今回は違う。
雲雀はふぅとため息をつく。
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