ショート(復活)

□思い込みを想い込みにかえるお返しを
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綱吉は泣きそうな顔でうずくまっていた。
その手には箱が握られている。綺麗に包装されたそれは雲雀からのホワイトデーのお返しだった。
バレンタインデーに売り言葉に買い言葉、その場の勢いで告白した。奇跡的に受け入れられて、雲雀とお付き合いなるものを始めた。
そう思っている綱吉はその日から1週間たったこの日、昼休みに雲雀から呼び出され現在手の持っている箱を手渡された。






応接室に綱吉が入ると、ここ一カ月そうだったように雲雀が柔らかい笑顔で迎えてくれた。
その笑顔に未だ慣れない綱吉は頬を赤く染め、うつむく。
そんな綱吉の可愛らしい様子に心を撃たれながら、雲雀は手招きで綱吉を近くに呼んだ。

「ヒバリさん?」

なんですかと首をかしげる綱吉。
それには答えず、雲雀は赤く染まる頬を一撫でする。
綱吉は気持ちよさそうに首をすくめた。

「手を出して。」

そのやわらかな声に誘われるままに綱吉は手を差し出す。
その手の上に雲雀が引き出しから出した箱を乗せる。

「…ヒバリさん?これは…?」
「あげる。」

それだけ言われて綱吉は困惑した顔をした。どうしてくれるのだろうか。
そう訴える顔の綱吉に雲雀は苦笑した。
どうやら今日が何の日かということは頭に入っていないらしい。

「今日は何日?」
「3月14日…ですけど?」
「そうだね。じゃあ、一か月前は?」
「2月14日…あ。」

雲雀がわかったという顔をした綱吉の額をこつんと軽く小突く。
そこを照れ隠しの笑みを浮かべながら撫でる綱吉。
今日はホワイトデーなのだ。ようやくそのことに思い至った。そして、そうするとこの箱はホワイトデーのお返しかと目を輝かせる。

「開けてもいいんですか?」

子供のように胸を踊らす綱吉に再び苦笑しながら雲雀が肯く。

「そんなに期待されても困るけど…どうぞ?」
「はい!!ありがとうございます!!」

逸る手つきでしかし丁寧に包装を解く。

「わぁ…マシュマロ?」
「うん。」
「おいしそう…ありがとうございます…!!」

嬉しそうに、本当に嬉しそうにほほ笑んだ綱吉。その反応に雲雀も頬を緩める。
和やかなほんわかとした空気になり、このあと一緒にお昼を食べ、綱吉は午後の授業を受けに教室に帰った。


その時までは幸せいっぱいな恋人同士だったのに…


放課後、応接室を訪れた綱吉は打って変わって今にも泣き崩れそうな顔でやってきた。
当然驚いた雲雀は慌てて駆け寄る。
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