ショート(復活)
□ある日曜日
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目が覚めた。
時計を確認すると朝5時、普段の自分ではあるえない時間。なぜか突然目が覚めてしまった。
…おかしい。今日は日曜日だ。いつもの自分ならば10時ごろに業を煮やした家庭教師様に叩き起こされるはず…
「……………情けないな。」
普段の自分がとことん情けなくなった。……もう一度寝てしまおうと布団に再度潜るものの、どうしても眠気はやってこない。
「仕方ないか…」
起きて着替える。しかし、着替えたはいいが…こう朝早すぎるとやることが全くない。日曜日だし。退屈に目線をさまよわす。
変わり映えのない自分の部屋…我ながら汚いな……誤魔化すように視線を逃す。その時、フッと窓の外、まだ静まり返った外が目に入った。
「そうだ、散歩でも行こうかな…」
早朝の澄んだ空気を胸一杯に吸い込む。
「ん〜…気持ちいいなぁ…」
無駄にテンションを上げながら歩き出す。自然と鼻歌なんかも出てくる。妙に上機嫌になって歩き続けると、視界に見覚えのある建物が入った。
「あれ…?」
静かにたたずむ並盛中学校。
いつの間にか足がここに向かったらしい。ちょっと苦笑する。無意識に足が道をたどってしまうくらい染み着いているらしい。
…ちょっと前まで通うのも嫌だったのになぁ…。
普段は生徒があふれるほどいてうるさいくらいの校舎も日曜日のそれもこんな時間じゃ誰もいなく、静まり返っている。
「……なんか、寂しいな。」
さっきまで楽しくて鼻歌まで出ていたのに、急に寂しくて仕方なくなった。
無性に誰かに会いたい。
衝動的に今の時間さえ頭からは消え去って、ポケットに無造作に放り込んでいた携帯電話を取り出した。そしてそのまま勢いで会いたいと願った時、一番最初に頭に思い浮かんだ人をコールする。
プルルルル…プルルルル…
「……もしもし、綱吉?」
どうしたのと聞いてくる少しかすれた声。
そこでやっと今の時間を思い出した。しかし思い出すのが遅すぎた。もうかけてしまった。
「綱吉?」
「…会いたい、です。今すぐ、ヒバリさんに会いたい。」
電話越しに息をのむ音が聞こえた。
こんな朝もいいものでしょう?
(どこにいるの?)
(並中です。)
(…5分で行く。待ってな。)
FIN
2012・11・15 初書
2013・1・31 掲載