ショート(復活)
□前髪の真実
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「恭弥さん!!」
「綱吉?」
スパーンと襖を勢いよく開けて綱吉が雲雀の自室に入ってきた。控え目な綱吉にしては珍しい入り方に驚く。綱吉は足音荒く雲雀に迫ってきた。
「恭弥さん!!」
「どうしたの?」
「どうしたのじゃありませんよ!!」
どうやら大変ご立腹の様だ。しかし雲雀には理由が見えない。
「?何を怒っているのさ?」
綱吉が一瞬傷ついた顔をした。
「わかんないんですか?」
「………………。」
「そ…ですか…」
綱吉が俯いてしまう。
雲雀はこの見えない展開に不機嫌に眉をひそめる。もともと入室時の乱暴さで若干機嫌は傾いていた。綱吉だからトンファーが飛んでこなかっただけだ。
「何?」
畳の上にポタリと滴が落ちた。雲雀は驚く。
「綱吉?」
「きょ……」
「?」
「きょ…恭弥さんの馬鹿―――――――!!」
「は……?!!」
バッと顔を上げた綱吉はぽろぽろと涙をこぼしながら、怒りに燃える瞳で雲雀をにらんだ。
「なにg…「前髪で隠しているんですよね!!」………………何が。」
「わかっているんですよ!!そのなっがい前髪の下に怪我を隠してるってことは!!」
「…………………大丈夫だよ。」
再び綱吉の眉が下がる。顔も下がってしまった。
雲雀は苦虫を噛み潰した気分で綱吉から顔をそむける。
「ど…して隠すんですか…どうして……」
「……。」
黙秘を通そうとする雲雀に綱吉は唇をかみしめるとともに、
ぷつんとどこかが切れた。
「……ふ、ふふ…ふふふ……」
「…つ、なよし?」
雲雀の呼びかけにこたえるように綱吉が顔を上げると、雲雀に飛びかかった。
「な…!!?」
不意打ちに対処が遅れた雲雀が退かそうとしても何処にそんな力があるのか…綱吉はびくともしなかった。
「ちょ…つな…」
「…いいですよ…そのつもりなら、そのつもりなら!!俺がその前髪切ってやる!!」
「な!!?」
いつのまにか綱吉の手には鋏がきらめいていた。
雲雀が本格的に逃げようともがいても目の据わったってしまっている綱吉には通じなかった。
ハイパー死ぬ気モード間際である。
「ちょ…!!綱吉、待ちな!!」
「待ちません!!」
「綱吉!!」