ショート(復活)

□嘆きの雨
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昼過ぎから降り出した激しい雨。
休日だとは思えないほど人気のない道を雲雀はずんずん進んでいく。
雨の日はうるさい群れがいないため雲雀にとっては快適な日だ。
それでも、煩わしい群れがいるかもしれないと見回りをしていると…公園に傘もささずにたたずむ人影を見つけた。

「…ねぇ。」

声をかけ、ゆっくりと振り返った顔を見て驚いた。

「沢田…綱吉…?」
「…ひ、ばリ…さん?」

そこにいたのは最近やけに気になる少女だった。
ポツンと自分の名前を落とした綱吉が雲雀にはとても頼りなくみえた。
雨にぬれた顔が泣いているように見えた。
その普段の明るい笑顔も自分に向ける怯えもない顔に雲雀はひどく落ち着かない気分になる。
そんな自分が気に入らなく、だから原因である綱吉の袖をつかんでなにも言わずに歩き出した。

「「……………。」」

二人ともなにも言わない。
応接室まで連れてくると雲雀は綱吉にタオルと着替えを渡す。

「着替えて。」

それだけ言うと自分も着替えを持ち、綱吉の返事も聞かずに隣の部屋に行ってしまった。
暫くして雲雀が戻ってくると綱吉は着替えて落ちつかなげに立ち尽くしていた。

「あ…あの、雲雀さん…」
「座っていて。」
「え…あ、はい。」

綱吉は返事を聞く間もなく再び隣に行ってしまった雲雀に困惑しながらもとりあえず言われたとおりにする。
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