ショート(復活)

□罪を負う者
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「…君たちの罪はなんだろうね。」

綱吉が何の感情も浮かばない瞳を『元』仲間たちにむけ、言う。血を流し、地に伏す彼らから答えは返ってこなかった。

「嘘も見抜けない愚かさでしょう?」
「周りに流される心の弱さじゃない?」

答えは後ろに立つ男たちから返ってきた。
男たち…雲雀と骸は血に濡れた武器を持ち、冷たく言い放った。

「…俺の罪はなんでしょうね。」
「彼らを許そうと考える甘さという名の残酷さですかね?」
「涙を流そうとする際限ない優しさじゃないの?」

先ほどとは違い、呆れと苦笑を含んで言う。
その一瞬、綱吉の瞳が揺れた。

「罪ある者が罪持つ者を裁いてもいいんでしょうか。」
「「それは悩むべきこと(なの)(ですか)?」」

声がそろってしまった二人は互いを一瞬睨む。綱吉はそんな二人につい笑う。
地に伏し、それを見た彼らは自分たちの愚かさを痛いほど感じた。あの温かな声をどうして自ら失ってしまったのだろうと…

「そうですね。悩むことじゃない…これは俺の罪で君たちの罪だ。」
「君が背負う価値もないのに…」
「本当に甘い人ですね…」

そう呆れたように溜息を吐き、二人は武器から血を払い落し、背を向ける。そして部屋の入り口で振り返り綱吉を待つ。
綱吉は再び無表情な瞳に戻り、彼らに一言だけ言い残した。

「さようなら、罪人さんたち。」

そしてそのまま同じように踵を返し、背を向ける。二人の所まで行くと、もう二度と振り返ることなく共に去っていった。
罪人たちは動くこともできない体を悔しがり、そして後悔に涙を流す。
彼の中にはもう自分たちの名前すら残らないのかと…姿を焼きつけることもできないのかと…




罪の深さにただ涙す

(君たちが許されるわけがないじゃない)
(犯した罪は自らで償うものです)
(俺の罰は…忘れることだよ…何もかも…幸せだったあのころも…)


          Fin




2012/11/20
2012・12・3UP
 

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