ショート(復活)
□なんて無謀な恋をする人
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いつからだったろうか…
気づいてしまったことがあった…
いつでもと言っていいほど彼とは一緒にいた。
なのに気付いたときには彼はすでにたった一人を見つめ続けていた。
クラスにいるマドンナと騒がれる彼女じゃなく、一人背中を見せて歩いていく漆黒の彼を…
「なぁ、ツナ?」
「ん〜?…なぁに?山本。」
「…やっぱ何でもねぇや!!」
「は…?なんだよそれ…」
彼が苦笑いで俺を見る。俺も笑い返すけれど、心の中は疑問でいっぱいだ。
どうしてあいつなのか。
いつでも怯えていたじゃないか
関わることなんて数えるほどしかなかっただろ
そんな辛いだけの無謀な恋はやめた方がいい
どれも俺は口に出すことはできなかった。
何度止めようと思っても…説得しようと口を開いても…
だって、彼のあいつを眺める顔はいつだって、
寂しげで
苦しそうで
なのに
幸せそうだった
「俺になにが言えるっていうのな…」
「山本?」
「いや、なんでもねぇよ。それよりツナ…」
俺には気づかないふりしかできなかった。