その他(GHなど)

□ねこねこあのこ
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「ねぇ、谷山さん。」
「はい?」

書類とにらめっこしていると突然安原に呼ばれた。
なんだと振り返るとズイッと何かを目の前に差し出される。

「これつけましょうか。」
「は?」

いきなりのことに間抜けた声が出る。そしてこれと言われたものであろう目の前のものに視線を移した。

「……これ…って?」
「見たまんまですよ。」
「え、でも、これ……」

猫耳…ですよね?と首をかしげた。安原はにっこり笑って、はいと肯く。
そしてどうぞという風に笑顔で押し出した。麻衣はその笑顔に後押しされるようにおずおずとそれに手を伸ばす。
ふわふわとした手触り。茶色なのは麻衣の髪色に合わせてだろうか。カチューシャ型のそれはどう見ても猫耳だった。
麻衣は安原を見る。どうしろと…?

「付けてください。」

有無を言わせない越後屋の笑みにヒクッと麻衣の頬が引きつる。
語尾にハートマークが見えそうだ。

「どうしてって聞いてもいいですか?」
「え?谷山さん知らないんですか?」

さも驚いたという様子で安原が目を見開く。その反応に麻衣こそが驚く。

「へ?何をですか?」
「本当に知らないいんですねぇ……谷山さん、今日は何日ですか?」
「ぇ…2月22日……ですよね?」
「そうですよ。で、その2月22日は『猫の日』というのですが…ご存じない?」

知らない。聞いたことはあるかもしれないが、それがどうして猫耳につながるのかがわからない。そもそも何故2月22日で猫の日なんだろうか?
次々浮かぶ疑問に首をかしげる。安原はそんな麻衣を見てキラッと眼鏡を光らせた。

「谷山さん、わからないですか?」
「はぁ…わかりません。」
「なら…その猫耳を付けて猫の鳴き真似をしてください。」

そうすればわかります。そう言う安原。
麻衣は本当だろうかと胡乱な目を向ける。それに安原はにっこりと笑う。その当然ですという笑顔にそうなのだろうかという気持ちになっていく。
麻衣は安原から手に持つ猫耳に視線を向けた。ゴクッと喉を鳴らす。安原がさぁ、さぁ、と笑顔で促す。
猫耳を持つ手がおそるおそる上にあがって…そっと装着する。
…恥ずかしい。自分の今の状態を想像して思った以上に恥ずかしい状態に麻衣の頬に熱が上がる。視線が知らず、下がる。
しかしここまできたら…と麻衣が意を決して口を開ける。

「に、ニャァ…「麻衣、お茶。」


ガチャッ…




「「「………………。」」」

空気が固まる。
誰も動けない中、最初に動いたのはやはり…
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